東海大菅生vs都立昭和
東海大菅生、4回の猛攻で都立昭和の勢い封じる
東海大菅生の先発・伊藤 壮汰
怪物・清宮 幸太郎擁する早稲田実を破り全国の高校野球ファンを驚かせた都立昭和が、中1日で今度は、東海大菅生と対戦した。
早稲田実が勝っていれば、昨年の西東京大会の決勝の再戦となったところであったが、相手が都立昭和になったことについて、東海大菅生の若林 弘泰監督は、「やりにくいことは、やりにくいです」と、語っていた。とはいえ、夏のシードのかかった大事な一戦。秋に膝を痛め、冬場の強化練習を十分にできなかったことから、背番号は20になっているものの、本来のエースである伊藤 壮汰が先発した。
対する都立昭和は、早稲田実戦の勝利の立役者の一人である左腕の田舎 凌が先発。
1回裏、東海大菅生打線は、田舎の緩い球を、外野までは飛ばすものの、いずれもほぼ正面で三者凡退。その後も走者は出すことはあっても、適時打が出ず、4回まではゼロが続いた。
「打てそうで、打てそうで、捉えることはできると思ったけど、早実さんも、こんな感じだったのかなと思いました」と若林監督は語る。
その一方で東海大菅生の伊藤は、地肩の強さを生かしたストレートと、スライダーが低めに決まり、4回表に、打っては3番の田舎に二塁打を打たれはしたものの、危なげのない投球をした。「先頭打者を出さないように気を付けつつ、丁寧に低めに投げるようにしました」と、伊藤は言う。
都立昭和の先発・田舎 凌
東海大菅生打線が田舎を捉えたのは、5回裏。一死後、1番の佐藤 弘教が中前安打で出塁する。佐藤は佐倉シニア時代ジャイアンツカップなどで優勝した期待の選手。秋はベンチに入れなかったものの、この春徐々に頭角を現してきた。
その後、2番・杉本 蓮の四球、3番・小玉 佳吾の右飛で佐藤は三塁に進み、4番・深澤 祐太の左前安打で佐藤が生還しまず1点。5番・落合 宏紀の四球で一死満塁となり、6番・本橋 実生の中前安打で2人が還った。さらに本来は4番を打つ選手であるが、秋以降打てず7番に下がっていた伊藤が左前安打を放ち、もう1人生還し、この回一挙4点を挙げた。これで流れは東海大菅生に。
7回裏も東海大菅生は、本橋、伊藤の連続二塁打に、8番・郡 怜央の右前適時打で2点が入り、勝負を決した。伊藤は昨年のエースである勝俣 翔貴にもらったというグラブを手に好投。8回を98球投げ、被安打5、四死球2、失点0の力投で、ゲームを作った。
9回は三塁を守っていた小玉が登板。「球は伊藤よりも速い」と若林監督が語るように、都立昭和打線を、奪三振2を含む三者凡退に抑え、東海大菅生が勝利した。
敗れたとはいえ都立昭和は、前半は強豪と互角の試合をし、7番・本木 哲也が伊藤から3安打するなど、意地はみせた。都立昭和は都立の実力校として、毎年夏にチーム力を上げてくるだけに、早稲田実に勝った自信と、東海大菅生に負けた悔しさを、今後の成長にどう生かすか注目したい。
勝った東海大菅生は、夏のシードは決めたものの若林監督は、「一戦一戦やっていくことに意義がある」と、今後の試合に向けて、戦う姿勢を示した。
(取材・写真=大島 裕史)
注目記事
・2016年度 春季高校野球大会特集