創志学園vs金光学園
フォームだけではなく、尻上がりに良くなるところまで似ていた松坂二世の高田萌生
高田萌生(創志学園)
この試合の注目はエース・高田萌生(2年)の投球ぶりだ。
最速150キロ。松坂大輔(現・ソフトバンク)を彷彿とさせる投球フォームということで、松坂二世と呼ばれており、2016年のドラフト候補にも挙がる投手だ。投球フォームを見ると、確かに松坂と似ているところがある。
まずゆったりとしたワインドアップから、左足の上げ方からフィニッシュまで松坂を意識しているのが良く分かる。特にテイクバックがしっかりと上がったトップの動きがよく似ている。当時の松坂と比べると股関節の柔軟性があり、歩幅が広く、上半身と下半身のバランスが取れた投球フォームだ。本人に聞くと、「僕が野球を始めた時から、松坂さんは憧れでした。甲子園を目指すには高校時代やプロ入りした時の映像を見て、真似をしていました」と松坂をモデルに自身の投球像を作り上げたようだ。
そして松坂の長所である尻上がりに調子を上げていくところも似ている。立ち上がりの高田は、常時135キロ前後・最速139キロで、さらにいきなり1点の先制を許し苦しい立ち上がり。この時の高田は、「立ち上がりが悪いことは自覚をしていて、この日は多めに投げたりしていました」
と準備をしていたものの、なかなか調子が上がらなかった。
2回、3回と走者を出しながら抑えたところだんだん尻上がりになって才能の片りんを示す。
3回裏、高田自身が二塁打を打ってチャンスを作ると、一死一、三塁から1番難波侑平(1年)の内野ゴロの間に同点に追いつく、4回表には走者を出したが、牽制で刺したところから変わる。
その裏、創志学園は、一死一、三塁から7番小林勇輝(1年)の犠飛で勝ち越しに成功。
勝ち越しを見せてから高田はさらにギアを入れる。
力投を見せた宮崎洸(金光学園)
5回表には130キロ後半~142キロを連発し、5回表には2番岩崎に対し、最速144キロのストレートで空振り三振。このガン、スピードガンが出る球場と比べると2キロぐらい遅く表示されるので145キロ以上で出ていてもおかしくない。
この秋、144キロ以上出した高校生投手は、北村朋也(東海大相模)、藤平尚真(横浜)の2人だが、指先にしっかりと力がかかったとき、ぐっと迫るようなストレートは絶品である。
後半から調子を上げた要因について高田は「強く腕が振ることができました」と語るように、足上げのバランス、体重移動、リリースの動きが全て連動したことで強く腕を振ることができていた。高田はそのバランスをしっかりと意識しているようで、軸がぶれないことを意識していた。
まだ打線も、5回裏には二死二塁から高井翔(2年)の適時二塁打、6回裏には、一死一、三塁から高田の併殺崩れで1点、7回裏には一死二塁から4番藤瀬 幹英(2年)の適時三塁打、5番草加 稔(2年)の適時打で5イニング連続で点を入れて、6対1と追加していったのは高く評価できるだろう。
高田は疲れ知らずで140キロ台を連発。この日はストレートで押し切れるということで、直球中心だったが、縦横のスライダー、カーブのキレも良く、最終回はスライダー2つを使って空振り三振に奪って試合終了。準決勝進出を決めた。
中国大会優勝と神宮大会出場を目指して取り組んだ創志学園。これで2戦連続の逆転勝利と勝ち方も良い。さらに勢いに乗れるか。
敗れた金光学園は、エースの宮崎洸(2年)は5失点したとはいえ、130キロ前後のストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップをテンポよく投げ分けることができる好投手。スイングに力感がある4番・八田敦司(2年)、先制打を放った大橋和史(2年)など振れる選手が多く、今後も追いかけてみたいチームだった。
(文=河嶋 宗一)
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