試合レポート

日大桜丘vs都立南平

2015.10.19

日大桜丘・丸木、土俵際で踏ん張り3回戦へ

三塁打も放った都立南平・大日方 樹

 ともに成長過程にあるチーム同士の対戦。ミスも多く出たが、両チームの一生懸命さが伝わってくる試合であった。

 都立南平は秋季都大会初出場。さほど目立ったチームではなかったが、この春、都立足立新田などの監督を務めた畠中 陽一が監督に就任するなど体制が変わり、徐々に力を付けている。畠中監督は、「まだ野球を知らない。でも努力する能力はどこにも負けない」と語る。

 試合序盤、都立南平はチャンスをつかみながら、拙攻で潰す。1回表、一死後2番村松 勇祐の中前安打、3番諏訪 良太郎の四球で一、二塁のチャンスをつかむも、バントの空振りで村松が飛び出し、刺される。

 2回表も5番江田 敦俊が敵失、8番先発登板の大日方 樹が死球で出塁するも、大日方が日大桜丘の捕手・伊藤 一憲の牽制に刺されてチャンスを潰す。「キャッチャーが向こうの流れを止めてくれました」と日大桜丘の佐伯 雄一監督は語る。

 その裏、日大桜丘の猛攻が始まる。この回先頭の4番土田 尚也が四球、5番富澤 圭都のバントは内野安打になり、6番田中 海聖のバントは捕手のエラーを誘い、無死満塁。ここで7番齋藤 栄樹がライトオーバー、走者一掃の三塁打を放ち、日大桜丘が3点を先取した。さらに齋藤は9番森 悠成の中前安打で還り、この回4点を入れる。

 さらに日大桜丘は5回裏にも4番土田の二塁打などで1点を追加する。

 日大桜丘の一方的な展開になりかけた試合は、6回表に変わり始める。
この回、二死一塁の場面で、苦労の投球が続く8番大日方がライトへの三塁打を放ち1点。さらに9番中島 慧太が四球で歩き、打席に入った1番森 祐樹が右中間を破る二塁打を放ち2人が還る。


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2015年秋季大会

完投勝利の日大桜丘・丸木 琳太朗

 しかしその裏日大桜丘は、3本の安打で2点を入れ、7回裏には3本の安打に、押し出しの四球もあり2点を入れて、勝負が決まったかに思えた。

 ところが後半に入り、日大桜丘の先発・丸木 琳太朗は、ストライクとボールがはっきりし始める。
「実はエースが股関節を痛めていて、危惧していた部分ではあります」と、日大桜丘の佐伯監督は語る。

 8回表都立南平は、9番中島、1番森が連打で無死一、二塁。ここで二塁走者中島は、またも捕手・伊藤 一憲の牽制に刺される。それでも2番村松 勇祐も中前安打、3番諏訪 良太郎の四球で満塁。ここで4番鈴木 優也の右中間を破る二塁打で2人が還る。さらに5番江田 敦俊の四球の後、6番高橋 夏輝の左前安打で2人が還り、2点差に迫った。そのうえ、続く大沼 慶祐が敵失で出塁し、一死満塁。都立南平のチャンスは続く。しかし8番大日方 樹は投ゴロの併殺になり、あと一本が出ない。

 9回表も都立南平は先頭の代打・篠澤 宙が左前安打で出塁したものの、1番森の遊ゴロが併殺打になり、万事休す。日大桜丘の丸木は、後半かなり危うい投球であったが、土俵際で踏ん張り逃げ切った。

 ただこの試合、日大桜丘は内野手が4失策を記録するなど、課題も多かった。もっとも日大桜丘は43年前のセンバツで優勝した実績のある学校であるが、練習場はテニスコート3面ほどの広さしかなく、しかも週3日しか使えない。そんな環境の中でも去年の夏はベスト16に進出するなど結果を残している。
「いまの選手たちは、この環境でもやっていけると、感じてやっている選手たちです」と佐伯監督は言う。
この試合勝ったことにより、3回戦(ベスト16)進出が決まったが、秋季都大会でのベスト16は30数年かぶりのことだという。日大桜丘は苦しみながらも、復活への足取りを一歩進めた。

 一方の都立南平も牽制死などミスが多かった。それでも畠中監督は、「こちらの指導の甘さ。子供たちを責められない」と語る。それでも都大会の出場を決めた淑徳戦では、1点リードされて迎えた9回裏に2点を入れて逆転勝ちするなど、粘りもみせた。
「勝つ喜びを経験できたのは大きいです」と畠中監督。「努力する能力」で、春から夏にかけてさらに成長することを期待したい。

(文=大島裕史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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