錦城学園vs都立松原

三塁打の錦城学園・河口

　学校創立は1880年。明治時代には野球の試合をしており、100年前の第1回の選手権大会の地方大会にも出場した伝統校である錦城学園だが、今まで秋季都大会に出場したことがなかったという。根岸 涼、小堺 涼太のバッテリーをはじめ、前のチームの主力がほぼ残った今回は絶好のチャンスであり、その期待通り、都立松原に快勝して、都大会に初進出を果たした。

　1回表錦城学園は一気に畳みかけた。1番安波 翔伎が中前安打で出塁すると、2番河口 椋が送りバント。これが三塁手の暴投を誘い一、三塁。さらに河口が二盗し二、三塁となったところで、4番目黒 敦也の右前安打が出て、まず2点。さらに5番岡村 大地のレフトオーバーの二塁打で、この回3点を入れる。

　3回表には右中間を破る三塁打の河口を、3番高納 卓也がセンターへの犠飛で還してさらに1点。
5回表には死球と失策で無死一、二塁とし、4番目黒の右前安打でまず1点。さらに四球で満塁とした後、一塁手の本塁悪送球で2人が還った。

　投げては根岸が7回を投げて被安打4、奪三振11で無失点の好投。錦城学園が7回コールドの圧勝であった。

　もっとも力の差の割に、都立松原が健闘したのは確かだ。錦城学園の玉木 信雄監督が、「緩い変化球にはまってしまいました」と言うように、都立松原の1年生投手・丸山 優河は、サイドスローを軸に、投げ方や投げるタイミングを変えたりしながら、投球を組み立てた。5回はやや乱れたものの、制球が良く、点差が開いた試合ではあったが、間延びした感じは受けなかった。

　都立松原の宮坂 純一監督は、「こういう展開になることは予想していましたが、踏ん張ってくれました」と語る。ただ、緩い球をより効果的にするためにも、ストレートを磨いてほしい。

　秋は都大会初進出となる錦城学園の玉木監督は、「初めてですが、まずは春のシードを取れるように頑張りたいです」と抱負を語る。秋季都大会はセンバツ出場をかけた大会であるが、同時に春の大会のシードもかかり、春の大会で有利な位置につけることで、夏の大会のシードを得るのに有利な位置につけることができる。新チームは結成されて間もないが、夏の大会を睨んだ戦いは始まっている。伝統校が新たな伝統を築く秋の戦いが注目される。

（文＝大島 裕史）