試合レポート

明星vs上野学園

2015.09.22

上野学園の猛攻を撥ね退け、明星が本戦出場をもぎ取る!

上野学園 初回本塁打を放った4番木本のフォロースルー

 本戦出場の切符をかけた最後の戦い。

秋季東京都大会第9ブロック
決勝が[stadium]明星高校グラウンド[/stadium]にて行われた。ともに夏は4回戦敗退の明星上野学園の戦い。

 試合は1回表、上野学園の凄まじい攻撃から幕を開けた。
先頭打者田村が敵失で出塁すると、そのまま盗塁を成功させる。2番竹内、3番中川が連打で続くことで、開始早々に上野学園が2点を先制。そして打席に立つのは4番木本。身長は大きくはないが、がっしりとした体格から力強いフルスイングが特徴的な木本。2球ボール球を見送り、甘く入った3球目を振り抜くと、打球はぐんぐん伸びて左柵を超える。木本の挨拶代わりの2ランで、さらに2点を追加した上野学園。その後も、二本の長打を含む3安打で、1回終わって6対0と、大きなリードをつくった。

 初回に関して、上野学園小川監督は「明星の矢野 傑投手は良い投手なので、ストライグゾーンにきたボールをとにかく振り抜くことだけを意識させました」と語る。実際に、上野学園の初回は、安打7本のうちファーストストライクを叩いたのが4本と、甘い球を見逃さない好球必打で作り出したビックイニングであったことがわかる。

 一方で、明星ベンチ。一年時からマウンドに立つエース矢野 傑が打たれ、意気消沈かと思われたがそうではない。明星石山監督は「とにかく初回なので、まだ焦るなと選手に声をかけました。一点一点積み重ねて、凡ミスをなくして行こうと。ベンチは“やるぞ!”という雰囲気でしたね」と語る。本戦への思いは、上野学園には負けていない明星。ここから監督の言葉通りにコツコツと点を重ねた。

 まずは、6点を取られた直後の1回裏。
二死となった場面から、3番塚本 和也が敵失で出塁し、こちらも4番篠崎が右中間を破る豪快な適時三塁打を放ち、1点を返すことに成功。1回おわって、6対1となる。

 次に試合が動いたのは、5回裏。
明星はこの回先頭の8番矢野 傑が右安打を放ち、9番檜垣が犠打を決め、一死二塁のチャンスを作る。打席に立つのは、1番折橋。「打線のキーマンは1番折橋と4番篠崎です」と石山監督が話すように、厚い信頼を得る折橋が右越え適時三塁打を放って、1点を追加した。この回は、さらに2番太樂のスクイズ、3番塚本 和也の適時打も飛び出し、3点を返すことに成功した明星。5回おわって6対4となった。


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明星 同点スクイズを決めて吠える 窪田

 打線が上向きになるにつれて、エース矢野 傑の調子も上がっていく。伸びのある直球と変化球を組み合わせた粘り強い投球で、初回以降は得点を許さない。

 踏ん張るエースを援護したい打線は、7回裏に仕掛ける。
4番篠崎が敵失で出塁したのち、5番小野の犠打は失敗に終わるも打者小野は一塁死を免れる。続く、6番吉田は、初球を振り抜き、右適時三塁打を放った。これで6対5と、いよいよ1点差と迫る。さらに、7番窪田が落ち着いてスクイズを決め、三塁走者吉田は生還。終盤に明星が6対6と試合を振り出しに戻すことに成功した。

 こうなれば、流れは明星のものに。
8回裏には、9番檜垣が右安打で出塁。1番折橋の犠打は、野戦となり、さらに2番太樂も犠打を決め、明星が一死二、三塁の一打逆転のチャンスを作ることに成功した。ここで、3番塚本 和也はスクイズを敢行。これをしっかりと決め、初回に失った6点をひっくり返す7点目を挙げた明星。応援にきた親御さんからは歓喜の声が湧き上がった。

 最終9回表は、エース矢野がしっかりと締め、試合終了。劇的な逆転劇で明星が本戦出場を決めた。

 上野学園・小川監督は、「力不足です。やってきたことが本番でできないという、選手たちの人間力がまだまだです。オフシーズンには本番で実力を発揮できるような人間力を磨きます」と語る。惜しくも敗れはしたが、この日1本の本塁打を含む3安打2打点の活躍を見せた4番木本を中心とした爆発力のある打線は非常に魅力的であった。

 勝った明星であるが、初回の失点から全ては始まった。石山監督は、エース矢野 傑に関して「1球が命取りになるといつも言っているのですが、今日はまさにそうでしたね。これがいい経験になると思います」と語る。この試合では、7得点のうち3点はスクイズからの得点というように、課題が打線にあり、打てないなりの戦い方をした結果であったが、「矢野を中心とした守備は今まで通りきっちりとして、課題の打撃を向上させて本戦に臨みたい」と石山監督は抱負を語った。本戦は、10月5日の抽選ののち、10日から始まる。

(文=高校野球ドットコム編集部)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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