日大藤沢vs茅ヶ崎
まだまだ不満ながらも、夏4強の日大藤沢は堂々のコールド勝ち
投げては5回無失点、打っては2打席連続三塁打の布施君(日大藤沢)
東海大相模の45年ぶりの全国制覇で、今年の甲子園はつい先日、幕を閉じた。神奈川県としては、1998(平成10)年の横浜以来の全国制覇ということになる。
その東海大相模に、この夏の神奈川大会では準決勝で敗退した日大藤沢。新チームとなっての、秋季大会の初戦となるブロック予選第1戦である。
強豪校とはいえ、学校としては野球部員としてのスポーツ推薦枠は7人前後しかないという。山本 秀明監督は、「これは、言ってもしょうがないことですからね。だから、ウチのようなチームでは、試合をしながら練り上げていくという形になっていきます。毎年そうなんですけれども、秋季大会の最初のブロック予選の時なんて言うのは、チームの完成度としても30パーセントくらいですから」と言う。
日大藤沢は、日本大学生物資源科学部キャンパスに隣接する形である、日大グループの中では学部付属校ということになる。学部としての特色もあるため、どうしても入学希望者にも制限ができてしまうのは否めないところであろう。それでも、その中で毎年激戦区神奈川で上位に食い下がっていくチームを作り上げている。
まだまだチームとしての完成度は低いと言いながらも、この試合での日大藤沢は、序盤は相手の変則気味の右スリークォーター小栁君の投球にやや戸惑って、初回に3番穂積君のタイムリーで秋元君を帰した1点のみにとどまっていた。
打順も2巡目となって4回、日大藤沢は5番堀口君が強い打球の三塁内野安打で出塁すると、続く布施君が一塁手の頭上を鋭く破って三塁打として帰し、その後も四球などで一死一三塁から二盗を試みて刺される間に三塁走者が生還して3点目が入った。
これで、ようやく活気づいた日大藤沢打線は、5回には打者12人、四球押し出しに布施君の2打席連続となる三塁打などで大量7点を奪い、一気に試合を決めた。
この秋の日大藤沢はエース大倉君が大黒柱として存在しているが、山本監督も「壊さないように、大事に育てていきたい」という思いで、特にこの時期は登板間隔を意識しているという。
そんなこともあって、この日は背番号9をつけている左腕布施君が先発したが、自身バットも好調だったということもあるのかもしれないが、結果的には1安打で5イニングを完封した。ただ、初回から4回まで毎回一人の四球の走者を出していたことは、課題と言えば課題となろうか。
それでも、まずは盤石のスタートと言っていいであろう。
茅ケ崎は、3回までは小栁君が巧みに打者のタイミングを外すなど、何とかかわしていたものの、やはり相手の強力打線に力の差は否めなかった。それでも、捕手の渡部直哉君は2度、二塁盗塁を刺し、2回には佐藤大君が好返球で二塁走者を刺すなど、きちんとした守りを見せていた。守りで崩れないということは、それでけきちんとした練習を重ねてきたという証でもある。このあたりは、武宮義明監督が、しっかりとこの夏の期間にチームを整備してきて、選手たちも、精いっぱいそれに応えてきたということであろう。
(文=手束 仁)
関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!神奈川県の野球部訪問を一挙紹介!