試合レポート

埼玉栄vs市立川越

2015.07.20

両者互角、シーソーゲームは埼玉栄に軍配

 埼玉栄出井 敏博(3年)、市立川越登坂 航大(3年)という好投手が先発した強豪同士の激突は前評判どおりの濃厚な試合展開となる。

 この日埼玉栄は初戦で3番を打っていた秋山 凌(3年)を1番に、5番を打っていた西本 拓馬(2年)を3番に上げるなど打順を変更する。これはおそらくこれまでの2戦でやや打線のつながりを欠いた埼玉栄打線で当たっている打者を上位に上げる意味合いもあったと思われるがこれが見事に当たる。

 先制したのは埼玉栄、初回登坂の立ち上がりを攻め立てる。
先頭の秋山がセンター越え二塁打を放つと、続く神保 翔(3年)はファーストゴロで走者を進め一死三塁とする。3番・西本の当たりはショートゴロであったが、三塁走者秋山にゴロゴーがかかっていたようで、スタート良く本塁を狙う。慌てたショート前村 英樹(3年)がファンブルする間に秋山が悠々と生還しまずは1点を先制する。
さらに続く鈴木 直幸(3年)の初球に埼玉栄ベンチはエンドランをかける。これが見事に成功し一死一、三塁と再びチャンスを作るが、ここは市立川越・登坂が踏ん張り、後続を抑え埼玉栄は1点で攻撃を終了する。

 市立川越もすぐに反撃を開始する。
2回表、この回先頭の野原 洸司郎(3年)がセンター前ヒットで出塁すると、続く原田 海都(3年)の初球にバスターエンドランを仕掛ける。これはショートゴロに終わりうまく走者を進められなかったが、市立川越ベンチも簡単には送らずにハイスコアに持っていこうという姿勢は見せる。6番・池田 将広(3年)に対してもベンチは強攻を指示すると、池田はこれに応え右中間へタイムリー二塁打を放つと二死後8番・登坂も三塁線を破るタイムリー二塁打を放つなど一気に2対1と逆転に成功する。

 その後は両チーム共にチャンスは作るが作戦が当たらず得点を奪えない。

 まず埼玉栄だが2回裏、この回先頭の立川 永一郎(2年)がセンター前ヒットを放ち無死一塁とすると、続く石井 潤也(2年)に対しベンチは犠打のサインを出す。だが、登坂の判断の良いフィールディングで併殺に打ち取られる。

 3回も先頭の秋山がライト前ヒットで出塁すると、続く神保の所でバスターエンドランのサインを出すが、市立川越バッテリーに外され二塁で刺されてしまう。
一方の市立川越も3回表、回の先頭の布沢 太一(3年)がショートへの内野安打で出塁するが、続く野原は併殺に倒れる。それでも、二死から5番・原田のヒットと続く池田の死球で一、二塁とするが後続が倒れ追加点を奪えない。


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!埼玉県の野球部訪問を一挙紹介!
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

 試合が再び動いたのは5回だった。

 まずは5回表、市立川越が二死から5番・原田がフェンス直撃の二塁打で出塁すると、続く池田がライト前タイムリーを放ち3対1とする。

 だが、埼玉栄もその裏、猛反撃を開始する。
この回先頭の石井 潤也がレフト越え二塁打を放つと、続く出井 敏博の犠打で一死三塁とする。ここで1番・秋山 凌がレフト前タイムリーを放ち1点差とすると、さらに二死後、3番・西本 拓馬がレフト前ヒットを放ち再び一、二塁とチャンスを広げる。ここで4番・鈴木 直幸がライト越えの2点タイムリー三塁打を放ち4対3とついに逆転に成功すると、さらに市立川越・登坂の明らかなワイルドピッチで埼玉栄は1点を追加する。この回明らかに登坂に異変が起きていた。暑さからか肩で息をしている。5番・黒澤 俊幸(3年)に四球を出した所で市立川越ベンチは登坂をセカンドへ回し、永光 由征(3年)へスイッチする。

 この永光が好投をみせる。その後の3イニングをヒット1本に抑え埼玉栄打線の勢いを止める。

 だが、埼玉栄・出井も6回以降は落ち着きを取り戻し試合は5対3のまま最終回へと進む。

 最終回、2点を追う市立川越が二死から粘りを見せ前村、布沢の連打で一、二塁とするが、後続が倒れ万事休す。埼玉栄が4回戦へ駒を進めた。

 両チーム放ったヒットは10本と互角だったこの試合、明暗を分けたのはやはりエースの差か。埼玉栄・出井は打たれながらも、どの回もピンチで最少失点に抑える粘投を見せていたのに対し、市立川越・登坂は、5回突然乱れ踏ん張り切れなかった。

 とにかく僅かな差であった。3回戦屈指の好カードは両チームがすべてを出し切った素晴らしいゲームとなったが、僅かな差が勝敗を左右する結果となった。

(文=南英博


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!埼玉県の野球部訪問を一挙紹介!
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.29

【福井】福井工大福井、丹生、坂井、美方が8強入り<春季県大会>

2024.04.29

【春季埼玉県大会】今年の西武台はバランス型!投手陣の完封リレーで初戦突破!

2024.04.29

【愛知】誉、小牧南が全尾張に出場

2024.04.29

【春季神奈川県大会】横浜が慶應義塾を圧倒!ドラフト候補たちが投打に活躍!

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!