試合レポート

東海大相模vs甲府工

2015.05.17

東海大相模の恐るべき出塁率

3度の出塁で勝利に貢献した1番・千野啓二郎(東海大相模)

 関東大会、[stadium]山日YBS球場[/stadium]で行われた第二試合は東海大相模vs甲府工
特に甲府工は地元ということもあって応戦席には観客が多い。地元開催である以上、県民が期待を寄せることは当然である。会場の[stadium]山日YBS球場[/stadium]は満員が続いている状態だ。

 神奈川県大会を制し、今年度も投打に抜群の仕上がりを見せる東海大相模だが、この試合でも存分にそのチーム力を発揮する。
初回、東海大相模は先発投手の山田 啓太(2年)が甲府工打線を3人で抑える。低めに集められた投球はバッテリーを組む長倉 蓮(3年)のミットにしっかり収まっていた。

 上々の立ち上がりを見せた東海大相模は裏の攻撃、1番・千野 啓次郎(3年)が四球で出塁。2番・宮地 恭平(3年)の打順で、相手投手のボークが宣告され二塁へ。打者・宮地は犠牲フライを打ち上げて、二塁走者の千野は三塁へ。一死三塁から3番・杉崎 成輝(3年)がセンターへ犠牲フライを打ち、千野が生還。東海大相模が1点を先制した。

 2回表、甲府工の攻撃は主将で4番・佐野 快人(3年)。
先発・山田 啓太の球を完璧に捉えた打球は、右翼席に飛び込む本塁打となり、同点に追いついた。
前評判では東海大相模が有利かと思えたが、甲府工も互角に戦う準備はできているようだ。

 2回裏の東海大相模だが、二死一、二塁のチャンスで1番・千野 啓次郎(3年)が左中間へ二塁打を放ち、逆転。なおもチャンスで、2番・宮地 恭平(3年)が打った打球は打ち取られたかのように見えたが、敵失を誘い2人の走者が生還。4対1とリードを広げた。

 3回裏にも東海大相模は一死二、三塁のチャンスを作り7番・竹内 大貴(3年)が2点適時打を放ち、追加点を挙げる。神奈川県大会も序盤から得点を積み重ね圧倒していたが、関東大会でも同様の攻撃力で甲府工を突き放しにかかる。

 東海大相模は4回裏、前の回から登板している甲府工のエース土橋 彩人(3年)も捉えて、二死三塁のチャンスから、4番・長倉 蓮(3年)が中前安打を放ち7対1。チャンスを逃さない打撃が素晴らしい。
5回裏、東海大相模打線はよく振れていたが、7番・竹内 大貴(3年)、8番・川地 星太朗(3年)がセーフティーバントを連続で決めて、9番・山田 啓太(2年)も適時打で繋ぎ一死満塁。ここのチャンスは打ってではなく、小技を使ってチャンスメイクをしてきた。1番・千野 啓二郎(3年)が犠牲フライを打ち上げて、さらに1点を追加した。

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

2回に同点本塁打を放った4番・佐野快斗(甲府工)

 6回表、甲府工が反撃に出る。
力投していた東海大相模山田 啓太(2年)だったが、甲府工に対して、安打と四球2つで満塁にしてしまう。
満塁のチャンスで5番・深澤 直人(3年)は四球を選び、押し出しで甲府工が1点を還した。だが、この回は後続が続かず1点止まり。
甲府工は7回裏にも二死満塁のチャンスを作るが、得点が入らず。

 あと1点入ると東海大相模のコールドゲームが成立してしまう7回裏。甲府工は右腕・野田 一樹(3年)を投入。流れを引き寄せたいところだったが、東海大相模がそうはさせてくれない。
7番・竹内 大貴(3年)が二塁打を放ちチャンスメイク。8番・川地 星太朗(3年)が犠打を決めて一死二塁。前の回から登板している9番・北村 朋也(2年)が安打を放ち、二塁走者の竹内が生還。この回10球足らずで7回コールドゲームが成立し、東海大相模が9対2で勝利した。

 神奈川県大会から序盤で圧倒的な攻撃力を見せて、勝利してきた東海大相模だが、関東大会も同様の試合運びで勝利を決めた。ダブルエースの小笠原 慎之介(3年)、吉田 凌(3年)はこの日登板せず。
打線も県大会から好調だが、打つだけではなくセーフティーバントや盗塁でチャンスを広げることもできて、1点が欲しい場面では打席で力みを見せることなく犠牲フライを打ち上げられる打線は非常に大人びている。特に各打者の出塁率は素晴らしかった。甘い球は初球から振れるが、相手投手の制球が安定していないと見れば、そこからの制球眼も冴えている。相手にとって東海大相模、各打者の高い出塁率は脅威だ。

 次戦はこちらも強打・作新学院との対戦が決まった。
打線は他にもバリエーション豊富な攻撃を持っていそうで次戦はどのような攻撃で作新学院に向かっていくのかが、非常に楽しみだ。

(文=高校野球ドットコム編集部)

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.01

【春季埼玉県大会】プロ注目石塚、大会1号!優勝候補筆頭・花咲徳栄が15安打で東農大三に勝利!

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【鳥取】鳥取城北が大差でリベンジして春3連覇<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける