試合レポート

八王子vs都立昭和

2015.04.04

八王子が夏を見据えた2つの取り組み

4番西谷選手(八王子)

  昨秋ベスト16の八王子
この試合を見ると夏へ向けて、いろいろな取り組みをしているのが分かった。背番号20の川越駿(3年)が三塁でスタメン出場、背番号16の喜多詠士(3年)が遊撃手で出場するなど、秋のスタメンとは変わった選手が出場していた。

 安藤徳明監督は冬の期間、控え選手の底上げが良かったと語る。
「一冬で、伸びてきた選手が多く、また伸びてきた選手が練習試合でも結果を出して、ベンチ入りあるいはスタメンを獲得した選手が多いです。それが良い循環になればと思います」

 この試合はどの選手も当たりを見せ、都立昭和を初回から圧倒した。1回表に内野ゴロで1点を先制されるが、その裏、八王子は二死二塁から4番西谷浩成(3年)、石井雄也(3年)の連続適時打で逆転に成功。

 さらに3回裏には佐々木 翼(3年)の適時打、さらに二死二、三塁から6番重松秀(3年)の中越え適時二塁打、7番佐久本凪(3年)の適時打で4点を追加し、試合を優位づける。その後も5回裏には佐久本の適時打、6回裏には一死三塁から代打の瀧本秀(3年)の適時打で8対1とすると、その後は連続押し出しで2点を追加し、10対1。なおも一死満塁から7番佐久本が試合を決める犠飛を放ち、11対1。6回コールド勝ちを決めた。

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好投した横森投手(八王子)

 そして安藤監督は先発の横森拓也(3年)を一本立ちさせようとしていた。昨秋からエースとして活躍していた投手だが、今年は夏へ向けて絶対的なエースとして育て上げるために春は積極的に起用していく方針だ。
「控える投手もみんな良い投手です。横森については大事に育ててきましたが、このままでは夏に最後まで任せられるかと考えたとき、このままでいけないかなと思って、今大会は出来る限り横森1人で行かせたいと思っています」
確かに勝ち上がるチームは絶対的なエースの存在がある。その横森だが、去年と比べるとだいぶ落ち着いて試合に入っている。

 174センチ62キロと細身だが、手足が長い投手体型でしなやかな腕の振りから繰り出す速球は125キロ~130キロぐらいだが、切れ味は中々で、開きがやや遅いフォームということもあって、差し込まれやすい。

 内外角へ速球を投げ分け、この冬に磨いてきたという球速が速いスライダーを投げて徹底的に磨きをかけてきた。速いスライダーを練習してきた理由は、昨秋の早稲田実戦(試合レポート)がきっかけだ。 
「強豪校のクリーンナップは左の強打者が多いので、そういうクリーンナップを抑えるために球速が速いスライダーに磨きをかけていきました」

都立昭和は、駒場学園の投手陣から8得点を取った強力打線。初回に1点を失うが、その後は安定した投球。6回を投げて被安打1本、無四球、毎回となる7奪三振を記録した。目に見えて球速が伸びてはいないが、投球の引き出しが広がり、精神面の成長が著しく、安定して公式戦で力を発揮できる投手となった。

 安藤監督は、「良くも悪くもなくでしたが、これまでの練習試合でしっかりと試合を作っていたので、その通りの投球ができたと思います」と評価。横森も、「自分なりの投球が出来ました」と手応えを感じていた。次は東亜学園と対戦するが、安藤監督、選手たちに話を聞くと、勝つ、負けるかではなく、夏につなげられることを意識しているようだった。

 控え選手の底上げにより競争が激しくなり、またエースも自覚をもって成長を見せた。夏へ向けてチーム作りは着実に進んでいる。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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