健大高崎vs宇部鴻城
走者の基本!情報収集能力‼
ピッチャーの特徴を探るというランナーの基本が見えたのが立ち上がりだった。
1回表、健大高崎は1番・相馬優人(3年)がストレートの四球で出塁する。立ち上がりからコントロールが定まらない宇部鴻城のエース・上西嵐満(3年)。続く2番・林賢弥(3年)の5球目に相馬は盗塁を仕掛ける。これにワイルドピッチが加わり、相馬は一気に三塁まで進んだ。
無死三塁でフルカウント。上西の7球目を打ち返した林の打球はやや浅めのセンターライナーとなった。宇部鴻城のセンター・梅本大輝(3年)の捕球の仕方を見た相馬は、一瞬だけホームへスタートを切りかけて自重してしまった。
「後から考えれば、ホームへ行けたと思います」と苦笑いしながら悔やんだ相馬。1回表に打者二人で1点を挙げれば攻撃の流れとしては最高だっただけに勿体ないと思える場面だった。
しかし三塁に残った相馬はここから真骨頂を見せる。1球ごとに様々なリードの取り方を見せ、マウンドの上西にどんな特徴があるのかを探った。3番。柘植世那(3年)は三振に倒れるが上西に8球を投げさせる。次の4番・柴引良介(3年)は5球目をセンターへ運び、相馬が生還。この合わせて13球で得た情報は「大きかった」という相馬は、ベンチに戻るとすぐに走者を背負った時に出る上西の特徴を伝えた。
タッチアップをできなかったマイナスの部分を打ち消すどころか、プラスに変えた相馬の情報収集能力が垣間見えた。逆に、タッチアップできていたならば2回の3点はなかったかもしれない。
もう一つ2回表の3点に繋がったと思えるのが1回裏の攻防。健大高崎のエース・川井智也(3年)も上西と同じく先頭打者を出してしまった。
宇部鴻城の2番はその上西。尾崎公彦監督は初球を送りバントすることを命じるが、健大高崎のサード・柴引が猛チャージを見せ、ダブルプレーになった。この場面、柴引はサインプレーではなく自分の判断でチャージしたことを明かした。
無死一塁から1点を取った健大高崎に対し、同じ無死一塁からバントを決められず、しかもダブルプレーで走者をなくしてしまった宇部鴻城。この後、2回表の3点でゲーム前半の流れが固まってしまった。