陽明vs真和志
オープニングゲームにふさわしく、気力・精神力を尽くした3時間20分
同点のホームを踏み、仲間から祝福される比嘉樹
先制したのは真和志。初回、1番宮城がフルスイングすると打球はライトの頭を襲う二塁打となった。次打者がスリーバント失敗で送れず、少しイヤな雰囲気となったが3番當間が初球を叩きレフトへ運ぶタイムリー二塁打で宮城が悠々と生還した。
その後二死一・二塁から敢行したダブルスチールが、三塁への悪送球を誘い2点を奪った。
1回裏三者凡退に終わった陽明は2回、一死から5番比嘉樹がレフト前ヒットで出塁すると犠打で二塁へ進める。その比嘉樹が三盗を決めるなど、第43回沖縄県高校野球部対抗競技会の全体7位(陽明高校9人の平均が12秒13)で見せた“足”を使って揺さぶりをかけ始める。
3回にはセンター前ヒットの9番伊智が、二盗と悪送球の間で三塁を陥れると1番宮城の犠牲フライで1点差に詰め寄ると、4回には一死二塁から8番山野のタイムリーで同点に追いついた。
2回以降、真和志打線をノーヒットに抑えていた陽明先発の當山だったが6回、2つの四死球を与えるなど突如制球を乱してピンチを招くと、6番仲本にライト前へ運ばれてしまう。
その後ワイルドピッチで2点目を献上すると、四球とヒットを浴び二死満塁の場面で降板した。
苦しい陽明だったが、2番手として登場した吉味が三振に斬って凌ぐと土壇場の9回裏、一死から四球を選ぶと陽明ベンチが動く。
それまで一塁コーチャーズボックスで立っていた新崎を代走で起用すると、比嘉樹に起死回生の三塁打が生まれる。一気に生還した新崎は思わず嬉し涙を流した。続く比嘉健がセンターへ高々と打ち上げると歓喜の同点劇となり、延長へともつれ込んでいった。
一進一退の攻防が続いた両者だったが14回裏、一死から比嘉健がヒットと盗塁でスコアリングポジションを占めると、この日それまでノーヒットが続いていた7番津堅の打球が一塁線を襲う。
ライン際ギリギリに落ちると二塁からサヨナラの走者が還って、激闘に終止符が打たれた。
陽明が奪ったスチールの数は実に13個に上ったが、途中から走られてもホームを踏まさなければいいと、打者を打ち取ることに集中した真和志・前原の216球14奪三振の力投は素晴らしく、延長に入って明らかに疲れが見えた中で、この日の最速137kmをマークするなど、夏へ向けて確かな収穫を得た試合でもあっただろう。
(文=當山 雅通)