尚志館vs明桜館
拙攻救ったエースの好投・尚志館
馬塲啓生（尚志館）
尚志館・馬塲啓生（3年）、明桜館・岩月直人（3年）、両右腕エースがテンポの良い投球で1点を争う緊迫した好ゲームだった。
7回に2番・萩枝由羽（3年）、8回に5番・寺園宗一郎（3年）のタイムリーで勝ち越した尚志館が白星を挙げたが、鮎川隆憲監督は「打線のつながりがなかった」と反省の弁。12安打しながら3得点しか挙げられなかったのは、強打を売りにするチームとしては納得のいかないものがあるだろう。
「ヒットは5本でいいから、集中打が欲しい」（鮎川監督）。バント失敗、走塁ミスなど拙攻で自らゲームを苦しくした。
攻撃面では反省の多い試合だったが、エース馬塲の好投がチームを救った。少ない球数でテンポ良く打たせてとる投球がさえ、15三振を奪って試合の流れを相手に譲らなかった。
「苦しい場面で、制球に注意して外角で攻める投球ができたのが良かった」と馬塲。2回に先頭打者を四球で出し、下位打線に連打を浴びて先制点は許したが、1失点で切り抜ける。2－7回は3人ずつで片づけた。
圧巻は8回だ。連打を浴び一死一三塁と一打同点のピンチを背負ったが、2番・松永拓己（3年）を3球三振、3番・種子田樹（3年）を1球でセカンドゴロに仕留め、わずか4球でピンチをしのいだ。「少ない球数で勝負する」（馬塲）持ち味を存分に発揮し、勝利への流れを大きく手繰り寄せた。
秋は背番号10。テンポは良いが一度崩れると修正が利かなくなる不安定さが課題だったが、一冬越えて「制球が良くなり、球速も上がって、信用される投手になった」ことを評価して鮎川監督はエース番号を託した。苦しい試合だった中で「持ち味を出し切ってくれた」とエースの好投を称えた。
拙攻続きで我慢のマウンドだったが、馬塲は「無我夢中で意識しなかった。自分のボールが通用することが分かって自信になった」と喜んでいた。
（文＝政 純一郎）
