都立昭和vs筑波大駒場
ビッグイニングを作った昭和が、6回コールド勝ち
先制打を放った都立昭和・佐々木廣大君
昨年秋季大会は代表決定戦で日大三に大敗した都立昭和。今春は何としても本大会に進出したいところである。
2010(平成22)年の秋季大会ではベスト4進出(試合レポート)という実績もある。しかし現在は、学校が3年がかりの大改修工事にあたっており、今度の新3年生はほとんどグラウンドがない状態で活動してきたというのが現実である。
それでも、現在でも45人の部員がいるという大所帯である。そんなこともあって、全員が機会均等に練習をしていくとなると、テニスコート一面程度しか取れないという状況の中では、ほとんどティーバッティング以外の練習はできない状況だという。
すぐ近くには大会でも使用している[stadium]昭島市民球場[/stadium]があるのだが、12~3月までは使用不可ということで、ことにオフの期間の練習は非常に厳しいというのが現状だった。4月からは週2回は練習できるようになるということである。そうなってくるとまた、守りの動きは違ってくるであろう。
森勇二監督もそんな状況の中でチーム作りをしてきた。だから、春季大会のブロック予選となると、ほとんどぶっつけ本番に近い状態である。「ノックなんかもほとんどできない状況でしたから、エラーはある程度は仕方がないとも思っていました」と、ミスが出ることは覚悟をしてはいたようだ。
12人で挑んだ筑波大駒場ナイン
そんな状態ではあったが、やはり数多くの部員の中で競い合ってきているということで、選手個々の意識は高い。序盤は、相手の四死球や失策などでチャンスをもらいながら、タイムリーな場面でのあと一本が出ないという形で、1点ずつしか奪えずいくらか歯がゆい感じの試合展開ではあった。
しかし、4回に8番林君の中越三塁打から好機を作って、3番佐々木 廣大君の左中間二塁打や5番菅波君の右越二塁打など、やっと走者をためた場面で長打も出て、結局この回には打者10人で6点を奪いビッグイニングとした。
さらに、6回には二死走者なしから2つの四球で走者をためると、ここ一番で起用したいという代打万代君が森監督の起用に応えて、中越二塁打して2者を返してコールドゲームとした。投手のところでの代打だったので、「打てなかったら打てなかったで、もう一人投げさせたい投手がいたんですけれどもね…」と、森監督は言っていたが、これに関しては嬉しい結果だったということなのだろう。
投手は、藤江君が4イニングで1安打されて1失点、リリーフした森山君は2イニングで1安打無失点。まずまずの内容だったといっていいであろう。
部員12人の筑波大駒場は、自分たちの限られた中で何とかしていこうという姿勢は窺われた。4番でエースの行友君と5番に入っている捕手の三浦のバッテリーがチームの中心なっているのだが、4回にはこの二人の連打が出るなどで1点を返して完封を逃れた。
(文=手束 仁)