試合レポート

浦和学院vs東海大甲府

2014.10.27

ここ一番での守備力を発揮し、浦和学院がベスト4進出!

浦和学院vs東海大甲府 | 高校野球ドットコム

力投を見せる菊地(東海大甲府)

 東海大甲府vs浦和学院
まるで甲子園で実現しそうなカードが[stadium]市原臨海球場(ゼットエーボールパーク)[/stadium]で行われた。球場のキャパが狭く、ネット裏から応援席までが近い距離にあるので、両チームの壮大なブラスバンドが響き渡り、この日詰め掛けた高校野球ファンは両校の応援に魅力をされていた。

 試合は投手戦となった。東海大甲府の先発は千葉黎明戦に続き、菊地 大輝(1年)。178センチ83キロととても高校1年生とは思えない体格をしていて、最速140キロのストレートを投げる。そしてこの投手の魅力は何よりも『ふてぶてしさ』だろう。千葉黎明戦では初球からスローカーブを投げたというが、この日もスローカーブを投じていた。良い投手はしっかりと自分で主導権を握って、ぐいぐいと投球を組み立てていく。菊地もまさにその例にあてはまる投手だ。

 今日の球速は130キロ~135キロとそれほど速くない。だが両サイドへのコントロールが安定し、さらにスライダー、カーブの投げ分けもしっかりしている。 

 マウンドでの表情を見ると、「打てるモノなら打ってみろ!」と強心臓ぶりが伝わってくるのだ。そしてスローカーブを投げる遊び心もある。体格の豊かさも含めて、この投手は『ふてぶてしい投手』という表現がぴったりとくる。

 対する浦和学院の先発・江口 奨理(2年)。173センチ63キロと細身の左腕。ピッチングは丁寧で、130キロ前後の速球に加え、低めのカーブをとにかく辛抱強く投げ込む。強気さが見える菊地と違い、江口は細心さが伝わり、1球1球気を付けながら投げている。千葉黎明戦で5回まで10得点を奪った強打・東海大甲府打線を無失点に抑える快投。

 5回まで0対0となり、試合はどのタイミングで動くかがポイントとなった。


浦和学院vs東海大甲府 | 高校野球ドットコム

追加点となる本塁打を放った高橋司(浦和学院)

 均衡が破れたのは7回表。
浦和学院は3番津田 翔希(2年)の安打で出塁し、さらにバッテリーミスで一死二塁のチャンスを作ると、5番幸喜 勇諮(2年)が左横線への当たり。これをレフト・角山が飛びつくもわずかに及ばず、適時二塁打になり浦和学院が先制した。そして一死二塁から6番高橋 司(2年)が高めに入る直球を逃さず、ライトスタンドへ。2ランとなり、3対0に。投手戦のムードで一気に3点を入れたのは非常に大きかった。
浦和学院は続く8回表にも、4番山崎滉太(2年)の適時打で1点を追加し、4対0。

 投げては江口が走者を出しながらも粘り強い投球。9回も無死一、二塁のピンチを招きながらも3番松岡 隼佑(1年)を併殺に打ち取り、そして4番平井 練(2年)を低めの変化球で空振り三振。江口が2試合連続完封でベスト4進出を決めた。

 浦和学院の凄さは相手に流れを渡さない試合運びだろう。個人で見ればパンチ力のある高橋、また流れるような足さばきから、華麗にアウトにする遊撃手の津田、勝負強く、長打力のある4番山崎滉と好選手が集まるが、各選手の守備力が高い。

 この試合では捕手の西野 真也(2年)が二度も二塁走者を刺すなど、ピンチを切り抜ける好守備があった。ただ飛んだ打球をアウトにする守備力だけではなく、ここ一番で切り抜ける守備力の高さが関東大会4強まで進出した要因といえる。

 2010年から2012年にかけて3年連続で秋季関東大会を制した浦和学院。2年ぶりの秋の関東制覇へ、手の届く位置にたどり着いた。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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