八戸学院光星vs山形城北
八戸学院光星が貫禄勝ち
3回、右翼適時打を放った加角翔太(八戸学院光星)
昨年の優勝校で、7年連続出場となる八戸学院光星と、5年ぶりの出場となる山形城北が対戦した。
八戸学院光星・仲井宗基監督と山形城北・増井文夫監督は、ともに大阪・桜宮高校出身。増井監督が先輩で、仲井監督が後輩の“同門対決”は、全国経験豊富な後輩に軍配が上がった。
八戸学院光星が先制パンチを食らわせた。1回裏、1番・新井勝寛がカウント3―2から左翼へ先頭打者ホームラン。3回には、1死2塁から2番・加角翔太がライトへタイムリーを放って追加点を奪った。
八戸学院光星の先発はエース・中川優。夏もエースナンバーを背負った、経験値の高い制球力のある投手だ。初回に1死から連打を浴びたり、3回には1死から満塁を作られたりしたが、要所を締めた。
7回には、この回、先頭の上松野聖に二塁打を許し、1番・矢口颯のセンター前ヒットで1点を失ったが、仲井監督は
「中川は持ち味の粘り強さを出してくれた。守りでエラーもあったが、ここという場面は守ってくれた。ウチらしさが出てよかった」と話した。
八戸学院光星(2013年4月光星学院から校名変更)と言えば、2011年夏、12年春夏と甲子園で3季連続決勝に進出したチームだ。当時は、田村龍弘(現ロッテ)、北條史也(現阪神)といった好打者がズラリと並んでおり、「打の光星」として注目を浴びた。試合を作れる投手も2人いて、投打にバランスが取れていた。
ピッチャーが抑えて、打って、打って、得点を重ねるスタイルだったが、選手が変わればチームカラーも変わる。
仲井監督は大会前、「今のチームはそんなに打てない。ランナー一塁は送りバントをする」と話していた。
完投した中川優(八戸学院光星)
この日、先頭打者本塁打が飛び出すなど、やはり、「打の光星」の印象はあるが、「打つイメージが付いているけど、今年はそんなに打たないですよ」と報道陣の笑いを誘った。
そして、「選手たちには『守り勝つ野球』と言い聞かせている。でも、守ってばかりいては勝てないので、少ないチャンスを活かしていきたい」と続けた。
一方、山形城北は中川に要所を締められた。ヒット数は八戸学院光星が7本だったが、山形城北は6本。
「打線になっていない。つながりがほしかった。エンドランをかけたりしたが、ランナーが進んだだけの状況だった」と増井監督が振り返れば、上松野主将も「チーム内で『(中川のボールが)浮いている』など、話していたが、チャンスであと1本が出なかった」と唇を噛んだ。
東北大会出場が決まってからは守備と走塁に力を入れてきた。守備では、1人100球ノックや1人1時間のノックなどで数を受け、現チームは足の速い選手がそろっているため、それを活かして先の塁を狙う姿勢を磨いてきた。しかし、相手の方が一枚上。
「(八戸学院光星は)大舞台を経験しているだけあって、ピンチでも落ち着いていた」と増井監督。山形城北としては、東北大会の経験を、今後に活かしていきたいところだ。
(文=高橋 昌江)