法政大高vs大森学園
1対0!延長12回の末、法政大高がサヨナラ勝利!
好投を続けた小松陽真(法政大高)
ゼロ行進のまま試合は進んでいく。
力投を続ける大森学園の左腕・半田隆人(2年)と、法政大高の小松陽真(2年)。ともに、9回を終わって、散発5安打、無失点と好投を続けていた。
試合が動き始めたのは、延長戦に突入してからだった。終盤になって、ややボールが高めに浮き始めた法政大高の小松は、延長10回表。
二死から、大森学園打線に連続四球を与え、走者を背負うも、ここは冷静に三振を奪って、ピンチを凌ぐ。
11回にも、一死から大森学園の2番鈴木悠樹(1年)が左前打を放つと、すかさず二盗。一死二塁とされるも、3番佐藤伸平(2年)、4番武井 陸(2年)をセンターフライに打ち取って、この回もホームは踏ませない。
さらに、12回表には、6番細矢雅士(2年)のサードへの内野安打。続く8番半田の左前打から、二死一、二塁とピンチを招く。
「1番打者の新城くんは、それまでの試合でも打っているバッターだったので、彼に打たれたら、相手チームを勢いに乗せてしまうと思ったので、回したくなかった。どうにか抑えて、自分のチームにいい流れを持ってきたかった」(小松陽真)
また、捕手の細田純生(2年)も、
「小松は真っ直ぐがいいピッチャーなので、一番自信のある真っ直ぐでここは抑えたいと思いました」と、直球勝負で、9番岡本悠揮(1年)をセンターフライに打ち取って、12回も無失点に抑える。
7回以降、大森学園の左腕・半田隆人の前に、ランナーを二塁に進めることが出来なかった法政大高打線だったが、その裏、チャンスを作る。
先頭の4番細田が、セカンドへの内野安打で出塁。ここまで、エース小松を好リードしてきた細田の意地の一打だった。
「これまでフライが多かったので、強く叩くことを意識しました。次のバッターにつなげようと、気持ちだけで振り抜きました」
続く5番原田も死球で出塁し、無死一、二塁とすると、6番小松に打席が回る。ベンチからのサインは、バント。
「とにかく落ち着いて、三塁側に転がすことだけ考えていました」と、小松の三塁線への犠打は安打となって、無死満塁に。このチャンスに7番・四條可生(2年)。
「相手が前進守備を取っていたので、バットを短く持って、外野に転がそうという意識で振りました。思いっきり振れば、いい結果につながると思いました」
その言葉通り、初球を力強く振り切った打球は、センター前へと転がる。
左腕エース・半田竜人(大森学園)
四條の一打で、三走の細田がサヨナラのランナーとなって生還。
スコアボードに、ついに「1」が刻まれた。
延長12回に及ぶ熱戦は、1対0で法政大高が、大森学園を破り、ベスト8進出を決めた。
「まだまだ、投げられる気力はありました。ただ、12回は、先頭打者を出して、焦って死球を出してしまったのが痛かった」そう振り返ったのは、延長12回134球を投げ切り、被安打5、四死球1、失点1の力投をみせた大森学園の半田隆人。
大森学園は、ブロック予選含めたここまでの5試合で、投手陣が取られた得点は僅か6点。1試合平均1.2失点と、高い投手力を武器に勝ち上がってきた。その柱となっていたのがエースの半田だった。その半田をリードした藤﨑椋汰(2年)は、
「今日は変化球中心で抑えてきて、中盤からもインコースに決まり始めていい投球をしてくれたのですが、最後、自分が低めに投げさせる意識をつけることができなくて、打たれてしまった」と悔しさをにじませた。
それでも、チームとしては、半田の好投を援護できなかった打線に課題が残った。
大森学園の和泉隆監督は、
「あと一本が出なかったです。半田は、今日も好投してくれましたが、打線がつながらなかったですね。後半は動かしていくぞと、セーフティーやエンドランも仕掛けていったのですが、打線がつながらなかった。ただ、秋の大会でここまで勝ち上がれたという経験は選手たちにとっても大きいので、今日の試合で足りなかった部分は、この冬にしっかりと身に付けて、また春に臨みたいです」と話した。
一方で、僅かなチャンスをものにし、勝利を収めた法政大高。
延長12回、162球を投げ、被安打8、奪三振8、四死球3、失点0と粘りの投球を続けたエース小松。
「バックを信頼しているので、打たれても守ってくれるという気持ちを持って、最後まで安心して投げることができました。次も厳しい戦いになると思いますが、あきらめずに最後まで投げ切りたいです」と語った。
また、法政大高の植月文隆監督は、
「このチームは投手も守備も粘って戦うチームカラーなので、今日も要所でよく頑張ってくれました。最後のチャンスをしっかり生かすことが出来て良かったです」と語り、1回戦の東亜学園戦で9回逆転サヨナラから、2試合続けてのサヨナラ勝利を収めた選手たちのプレーを称えた。
加速していくチームの勢いそのままに、次の準々決勝・早稲田実戦に臨みたい。
(文=安田未由)