中大杉並vs錦城
逆転につぐ逆転劇!激闘の末、中大杉並が魂の粘り勝ち!
逆転打にガッツポーズの小西(中大杉並)
10月11日、八王子市民球場で行われた秋季東京都大会1回戦、第2試合は中大杉並と錦城の対戦。
錦城は第12ブロックを1回戦からいずれも接戦で勝ち抜いた。代表決定戦では目白研心に7回終了で0対5とリードを許していたものの、そこから逆転。6対5で出場を掴んだ。
一方の中大杉並は第8ブロックでは、早めに先制し、小刻みに追加点、と危なげない試合運びを披露。代表決定戦では都立山崎を10対3で下し今大会に出場。チャンスを逃さない強さを持っている。
試合は中大杉並が2回に9番・水野槙也のタイムリーで先制。3回にも5番で先発の慶原隆秀のタイムリーで追加点を奪い、予選同様そつのない攻撃を繰り出す。
だが、この日の相手、錦城は簡単に引き下がるようなチームではなかった。
4回表、先頭の1番・中島輝、2番・大久保陽が連打で出塁すると、中大杉並の守備の乱れや6番・安瀬篤志、7番・神戸翔のタイムリーなどで4点を奪い、あっさりと逆転に成功する。
その後互いに1点ずつ追加し2点差のままで迎えた6回裏、中大杉並は2番・福迫幸己の2点タイムリースリーベースで同点に追いつく。
そして同点で迎えた7回、追い付かれた錦城は先頭の2番・大久保がヒットで出塁。続く3番・大槻廉がタイムリースリーベースを放ち、すぐさまリード。さらに、4番・山本啓介、8番・酒井直人のタイムリーで2点を追加。この回3点を奪い8対5とし、またも中大杉並を引きはがしにかかる。
だがその裏、中大杉並打線が爆発。二死からヒットと四球でランナーを溜めると、相手エラーで同点に追いつき、なおも二死満塁のチャンス。ここで3番・小西智也が走者一掃の3点タイムリーツーベースを放ち、塁上で大きくガッツポーズ。離しても離してもついていく中大杉並が、この回5点を挙げ、10対8とついに再度リードを奪った。
気持ちを切らさない錦城バッテリー
終盤、一気に5点を奪われて逆点を許し、気持ちが萎えてしまってもおかしくない展開だったが、錦城はあきらめてはいなかった。エラーで1点を返すと、ランナーを三塁に置き、5番・光居大輔がしぶとく内野安打を放ち1点を追加し同点に。試合をまた振り出しに戻した。
何が起こってもおかしくないこの試合。9回裏、中大杉並は一死から1番・上月遼が出塁。2番・福迫幸己がバントをするが、錦城ナインはこの処理を焦ったか、ファーストへの送球が大きく逸れてしまう。ボールが転々とするのを見た上月は快速を飛ばし一気に本塁へ突入を試みるも、これはアウト。緊張感が要求される状況が続く。
福迫を三塁に置き、続く打者は逆転のタイムリーを放った1年生、小西。小西は冷静に四球を選択。続く4番・宮澤英輝も四球を選び、二死満塁。場内が異様な雰囲気に包まれる中、ここで代打に中之薗憲が送りこまれる。堂々と打席に立つ1年生に投げられたボールはキャッチャーミットを逸れ、なんとワイルドピッチに。三塁から福迫が還り、中大杉並がサヨナラ勝利を収めた。
ノーガードの打ち合い、という言葉がぴったりだったこの試合。守備からリズムを作ろう、という声は両チームから出ていたが、この日はそれはうまくいかなかったようだ。お互い、守備で好プレーは出るものの、エラーにこそならない細かいミスなどが大事なところで出るなどやや安定感に欠けた。だが、これからチームを作り上げていく中で、練度も上がってくるはずだ。この試合で見せた粘りと気持ちの強さに、丁寧で安定した守備が加われば鬼に金棒だ。
そして、粘り勝ちで駒を進めた中大杉並は、次は強豪・国士舘と対戦する。この勢いでぶつかっていくにはまたとない相手だ。
(文=青木有実子)