市立船橋vs船橋北
関東をめざし、市立船橋が目指す「つなぎの野球」
犠打を試みる柄澤(市立船橋)
まだ甲子園は準決勝だが、既に全国各地で新人戦がスタートしている。千葉県は来春の選抜出場をかけて一次予選が21日から始まった。
秋は足りない部分をどう埋め合わせしていくかの作業だ。ミスがあって、当然。ミスを克服し、夏に勝てるチームを目指し、1年かけてチームを作り上げていく。まだ経験が少ない秋では、それまでの公式戦出場経験の選手を多くかかえるチームほど、細かく、レベルが高い野球を実践できる。
そういう意味では、市立船橋は遊撃手・及川 茂樹(2年)、佐藤 虹輝(2年)、後藤 裕雅(2年)、柄澤 侑也(1年)、望月 大希(2年)、と旧チームからレギュラー5人が残っており期待が持てる。その市立船橋が試みようとしていたのは、「細かいつなぎの野球」だ。
まず1回裏、二死二塁から4番阿部が中前適時打を放ち、さらに5番柄澤が右前適時打を放ち、計3点を先制する、だが2回裏、一死満塁の場面で、5番柄澤がスクイズを仕掛けたが、失敗に終わった。打たせても良い場面。だが市立船橋が目指すのは、犠打などでつなぎが出来ること。柄澤にも試すにはもしもの場合に備えてだろう。
接戦になったとき、クリーンナップにも犠打をしなければならない場面は訪れる。そういう時に犠打の経験がある、なしでは成功率は違う。市立船橋の選手は能力的に高い選手が揃うが、細かい野球をしっかりと植え付けようとしていた。
好投を見せる定塚伊作(市立船橋)
2回以降、打線はしっかりとつながった。3回裏には二死二塁から1番佐藤の適時二塁打、2番宮の適時打で5対0と差を広げ、4回裏には二死二塁から高橋我の適時三塁打で、5回裏には2番宮の内野ゴロの間に7対0と差を広げる。
また先発の定塚 伊作(2年)も好投。テークバックを大きく取って、豪快に振り下ろす投球フォームから最速130キロの直球、スライダー、カーブを投げ分け、6回を投げて4奪三振。4四死球と制球に苦しんだが、粘り強く投げることが出来ていた。
そして6回裏には柄澤の二塁打からチャンスを作り、無死一、二塁から高橋我の適時打で1点を追加し、一死二、三塁となって、代打・天野が右中間を破る適時三塁打で、10対0として、6回コールド勝ちを決めた。
試合後、市立船橋の櫻内監督は
「2回のスクイズが決まれば、もっと良い形で得点が出来ていたと思います。チーム作りとしては、やはり全く何も経験がないよりも、経験が多い選手がいたほうが良いです。そういった意味では及川、柄澤を中心に進んでいるといえます」
順調にチーム作りが進んでいることに手ごたえを感じているようだった。昨年のチームは秋4強、春2回戦、夏ベスト16と上位まで進出したが、あと一歩及ばなかった。それだけにこの秋にかける意気込みは強い。旧チームからのレギュラーを中心に豊富な経験値で、5年ぶりの関東大会出場を狙う。
(文=河嶋 宗一)