試合レポート

専大松戸vs柏日体

2014.07.26

専大松戸、夏の大会初の決勝進出!

 千葉県大会準決勝の第二試合。

 3年連続の準決勝進出となったAシードの専大松戸と、2年振りに準決勝まで勝ち上がってきたCシード柏日体との対戦となった。
両校は2年前準決勝でも対戦し、その時は柏日体が延長戦を制して決勝に駒を進めた。

 専大松戸の選手達にとっては、勝って2年前の悔しさを晴らしたいところ。一方、柏日体としても2年前はその後の決勝で敗れており、あと一歩で逃した優勝を目指すためには、ここで敗れるわけにはいかない。そうした両校の思いも交錯する中、試合は始まった。

 専大松戸の先発マウンドを託されたのは、準々決勝木更津総合戦で完投勝利した金子 直登。中一日での登板となった金子だが、全く疲れを感じさせない素晴らしい立ち上がりを見せた。

 まず、1番の矢嶋からアウトコース一杯に決まるストレートで見逃し三振を奪う。二死後、3番の山口からは切れの良い変化球でまたも見逃し三振。緊張感のある立ち上がりを3人で抑え、チームに良い流れを呼び込む。

 柏日体の先発投手は、今大会初先発となる背番号11番の田原。こちらは専大松戸の金子とは対照的な立ち上がりとなった。
1番の稲葉をいきなり四球で歩かせると、一死二塁のピンチを招く。迎えた3番打者の高田には、高めに甘く入った変化球を叩かれ、左中間への二塁打を浴びて先制点を許す。死球を挟み、5番の原には右前適時打を許し2点目。更に一死一、三塁から6番の岡本にスクイズを決められ、初回に3点を許してしまう。

 逆に3点を先制してもらった金子は、2回の投球も冴え渡る。
この回先頭の4番•朏を見逃しの三振に抑えると、初回同様に三者凡退で締め、相手に流れを渡さない。

 金子の作ったリズムに応える様に、専大松戸打線は2回も攻撃の手を緩めない。
この回先頭の9番金子が、1回の途中から登板していた柏日体2番手の小谷から、中越え二塁打を放って出塁。その後、二死二、三塁とチャンスを広げると、4番渡辺の中前適時打で2点を追加して5対0。
専大松戸が、柏日体2投手の不安定な立ち上がりを鮮やかに攻め込み、序盤で5点という大きなリードを奪う。

 序盤とはいえ、5点という大きなビハインドを背負った柏日体は、3回からエースナンバーの白銀 滉大をマウンドに送る。

 白銀は今大会24回2/3を投げ、無失点という好成績を残している。しかしその白銀も3回先頭の原にいきなり死球を与え、犠打と7番河村の左前安打で一死一、三塁のピンチを招いてしまう。
だが、そこからの落ち着いた投球が、流石はエースと思わされる内容であった。後続2人をきっちりと打ち取り、専大松戸への一方的な展開を阻止する。


 ここから、試合は金子と白銀の投げ合いとなる。
金子は角度のある力強いストレートを中心にした投球で、柏日体打線に付け入る隙を与えない。
白銀も4回以降、更に調子を上げていく。サイドハンドから投げ込む伸びのあるストレートと、コーナーに投げ分ける切れの良い変化球で、序盤の悪い流れを完全に断ち切り、味方打線の反撃を待つ。

 しかし、不用意な四死球を出さない金子の制球力と、高い守備力を誇る専大松戸の内野陣を前に、柏日体もなかなかチャンスらしいチャンスを作れない。
また5点という点差は、回を追うごとに柏日体に大きくのしかかっていく。バントや足を絡めた攻撃で、相手のペースを崩すスタイルを得意とする柏日体。しかし、点差があることで攻め手を欠き、本来の機動力野球が展開出来ない。

 膠着状態が続いた8回表、ようやく試合が動く。
この回先頭の今大会絶好調の6番佐藤が、金子の投じた2球目のストレートを思い切り良く叩くと、打球はレフトスタンドに飛び込む本塁打となり、柏日体が待望の得点を果たす。

 ここまで、完璧な投球を続けてきた金子。この本塁打でリズムを崩しかけたのか、次打者には3ボール1ストライクとカウントを悪くする。
しかし今日の金子は落ち着いていた。スリーボールまでいっても、慌てずにストライクを丁寧にコーナーへ投げ込み、三振を奪うと、結局8回の攻撃を佐藤の本塁打の1失点のみで切り抜ける。

 両投手の好投は続き、いよいよ試合は最終回を迎えた。

 4点を追いかける柏日体は、9回二死から粘りを見せる。
3番の山口が右中間を破る三塁打を放つと、代打の川島が執念の中前適時打で3点差に迫り、簡単には試合を終わらせない。

 しかし金子も力を振り絞る。
最後は柏日体主将の5番渡辺を渾身のストレートで見逃し三振に打ち取り、5対2で試合終了。金子は二試合連続の完投勝利を収めた。

 専大松戸は序盤に奪ったリードを、最後まで守り切っての勝利。

 柏日体としては、後半のもつれた展開を想定しての投手起用であったと思われる。しかし、専大松戸に瞬く間の速攻に合い、思い通りの継投にはならなかった。白銀はこの試合でも6回を無失点に抑える完璧なリリーフを見せただけに、投入のタイミングが悔やまれる結果となってしまった。

 この勝利で専大松戸は、夏の大会でなかなか進めなかった決勝進出を初めて果たした。自分達の力で切り拓いた最高の舞台。同校初の決勝戦となるが、気負うことなく、今の勢いのまま悔いのない戦いを見せて欲しい。

 勝利した専大松戸は、7月26日(土)10:00~の決勝戦で東海大望洋と対戦する。

(文=原野 啓

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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