榛原vs浜松商
榛原が4回一気に爆発して、鮮やかな逆転勝ち
ある意味では、因縁の顔合わせともいえるものである。というのも実は、浜松商の鈴木祥充監督は、3月までは榛原で指導していたのだ。
だから、榛原としては手の内を知り尽くされているともいえる。
純白にスタンダードにワセダ文字で「HAMASHO」と書かれたユニフォーム。久しく甲子園では姿を見ていないけれども、やはり地元では根強い人気があるようだ。
その浜松商が初回、いきなり3点を奪った。
先頭の伊奈君が右前打で出ると、バントで進め、3番渥美君が中前打して一三塁。続く内山君が中前へ先制タイムリー。さらに、死四球で二つの押し出しもあってこの回3点となった。
榛原の西郷君としては、立ち上がり、少し球が集まりすぎて、それを散らしにいったら今度は制球が不安定になってしまったという、よくない循環による3失点だった。
これに対して榛原は3回、7番西郷君がチーム初安打を放つと、2死から暴投と2四球などで満塁とすると、ここで浜松商の鈴木祥充監督は、先発中村君を外野に退けて代わりに1年生の大橋君をマウンドに送り出した。
その代わり端を捉えた榛原の3番大石君が中前へはじき返して2者を迎え入れて1点差とした。
さらに、4回にも先頭の6番田原君が中前打で出るとすかさず二塁盗塁、西郷君の大きな外野飛球で三塁まで進むと、清水君がスクイズ(記録は犠打失策)を決めて同点とした。
榛原は、「バントの浜商」のお株を奪う巧みなスクイズだった。
そしてその後、榛原の猛攻が続いた。
浜松商は3人目のエースナンバーをつけた増田君を送り出したのだが、これに対して2死一二塁から榛原の増田君が左越へ二塁打して逆転すると、さらに3番大石君が左翼席を放り込んでこの回5点が入った。
これで試合の流れは、完全に榛原に傾いた。
榛原の西郷君は2回からは、打たせて取る自分の投球リズムを取り戻していた。とくに、5回からは味方が逆転してくれたこともあって、伸び伸びと投げていた。
榛原は5回にも、田原君、西郷君の連打などで1死満塁とすると、1番櫻井君の三塁手を強襲する安打で加点した。
結局、試合はそのまま榛原がリードをキープして逃げ切った。
1回を除くと西郷君の投球も安定していた。併殺打も2本あり、スイッチが入ってからは打たせて取っていく投球の本領を発揮したといっていいだろう。
浜松商は9回、3番渥美君の右前打で1点を返し、さらに内山君の二塁打と村松君の中前ポテン安打でさらに2点追加して盛り上げたものの、そこまでだった。
榛原は前監督に、勝利という形で恩返しをしたことになったのだが、ベスト16進出は15年ぶりだ。
(文=手束仁)