浜松工vs飛龍
浜松工が3回打者一巡、集中打で一気に粉砕
東海地方も梅雨明けして、いよいよ本格的な夏の到来だ。夏の大会も、いよいよ佳境に入ってきたが、具に優割拠と言ってもいい静岡大会は、中堅校の対決である。
飛龍の先発成田 雄樹君は、立ち上がりボールが先行して制球に苦しんで、連続四球。バント後さらに四球で満塁。ここで、浜松工は5番新村君が初球を中前打して先制。
しかし、その後は投ゴロ併殺で、飛龍は立ち上がりの大ピンチを何とか1失点で逃れた。
その裏、飛龍は先頭の丸山君が99.1mのフェンス直撃の三塁打で出ると、外野飛球落球に送球ミスも重なって、飛龍はたちまち逆転した。
先の2回戦では静岡商を6安打1失点に抑えた浜松工の先発加藤君は、丹念にコースを責めていくタイプ。ただ、球威があるワケではないので、コースが甘くなると長打を浴びやすい。そこを突かれた形となった。
こうして試合は、荒れ模様の様相で始まった。
3回に反撃に出た浜松工は、失策と遠藤君の右前打で無死一二塁とすると、4番二橋君が右中間に三塁打を放って再逆転。さらに、新村君も左前打で続いて二橋君を帰す。
なおも大石君が三塁線を破り、バントで二三塁として、高洲君の左前打でさらに1点が追加された。結局、この回4点が入った。
こうして、浜松工が主導権を握ったまま試合は後半へ突入した。
試合は4回裏から浜松工は背番号16ながら元々はエース格だったという杉本君、6回表から飛龍は右サイド気味の國見君がリリーフして落ち着いてきた。
次の動きが、どのような形になるかと思われたが、7回の飛龍は先頭の4番佐藤竜君が右中間へ三塁打すると、村井君の大きく跳ねた投手ゴロの間に生還して2点差と迫った。
しかし、結局飛龍の反撃もここまで。
飛龍の濱野洋監督としては、3回の浜松工の連続安打のところで、何とか早く食い止めたかったというのが本音であろう。ただ、3回でもあったし、あそこでエースの成田君を下げるというのは勇気のいる決断ではあろう。
浜松工は、初回は四球で貰ったチャンスを攻めて、3回は失策からのチャンスに集中打が出たという形だった。後半は、打線が沈黙してしまった浜松工だったものの、杉山正美監督としては、試合の感触としては悪いものではないのではないだろうか。
飛龍のスタンドには、「和緒壱」と書かれたTシャツを着た控え部員たちが声援を送っていたが、これは、「わっしょい」と読むらしい。「和」を背負って一つになって頑張ろうという意味だというが、敗れはしたものの、7回に意地で食い下がって2点差とするなど、背番号14の主将奈佐亘君をはじめ、気持ちは一丸になれたのではなかっただろうか。
(文=手束仁)
【野球部訪問:第74回 県立浜松工業高等学校(静岡)】