流通経済大柏vs君津
諸積怜、執念のヘッドスライディングで先制!流通経済大柏が3年ぶりのベスト8!
試合は、君津・荒木 良輔(3年)、流通経済大柏の山口 奔杜(3年)の投手戦で進んでいった。
君津・荒木は右上手から常時130キロ前後(最速131キロ)の直球と変化球のコンビネーションがしっかりはまった。流通経済大柏打線を7回無失点に抑える見事な投球を披露。チームを16強に導いたのも頷ける好投だ。
対する流通経済大柏の山口は右スリークォーターから常時125キロ~130キロの直球に、スライダーを織り交ぜ、7回途中まで無失点と好投。7回二死二塁のピンチで、リリーフの木村 亮太(3年)の登板を仰ぐが、その木村が1番柴野 透也(3年)に四球を出すも、2番工藤 悠佑(2年)を空振り三振に打ち取り、ピンチを切り抜ける。
試合が動いたのは8回表。
先制したい流通経済大柏はこの回先頭の1番諸積 怜(3年)が四球で出塁。諸積は二盗を成功させ、2番五十嵐 洸平(3年)が死球で出塁。無死一、二塁となって、3番井田 一輝(3年)の遊ゴロ。併殺を狙おうとするが、井田の足が上回り、二死一、三塁と思ったが、なんと三塁を回った諸積が三塁を蹴って、本塁を狙ったのだ。
これに君津の守備陣は焦った。懸命にバックホーム。クロスプレーとなり、諸積は本能のままにヘッドスライディング。これが僅かに上回り、セーフ。なんと足で1点をもぎ取った見事な走塁だった。
千葉ロッテのスカウト・諸積氏の息子で知られる怜。諸積氏は俊足巧打の外野手で、ヘッドスライディングなどガッツ溢れるプレーで、人気を呼んだが、まさにヘッドスライディングでの生還は諸積氏の現役時代を思い出すプレーだった。
そして9回表、流通経済大柏は一死三塁から君津の敵失で、1点を追加し、2対0とする。君津にとってこの1点は大きかった。その裏、リリーフの木村が守り切り、完封勝利で3年ぶりのベスト8進出を決めた。
こ試合の立役者は諸積。気迫溢れる走塁がチームを勝利に導いた。
俊足で、盗塁技術も高く、出塁をすれば、何かを起こしてくれると期待を寄せたくなる選手。準々決勝以降でも諸積のワンプレーがカギを握るといってもいいだろう。
エース杉浦 彰悟(3年)の温存に成功し、東海大浦安戦を迎える。東海大浦安に対しても粘り強い野球で、2011年以来の4強進出を決めたい。
(文=河嶋宗一)