試合レポート

流通経済大柏vs八千代東

2014.07.20

延長12回に及ぶ熱戦!勝利を呼び込んだ流経大柏・木村亮太の快投!

 ベスト16入りを賭けた一戦。流通経済大柏八千代東の一戦は投手戦となった。

 八千代東完倉 康記(3年)は左腕から常時125キロ~130キロの直球、スライダー、曲がりの大きいカーブを織り交ぜ、打たせて取る投球。流通経済大柏杉浦 彰悟(3年)は130キロ前半の直球、同じく曲りの大きいカーブを投げ分け、八千代東打線を抑えていく。

 先制したのは流通経済大柏だ。
5回表、4番大森 賢将(3年)が死球で出塁すると、犠打で、一死二塁となって、6番永井 健(2年)が左前適時打を放ち、1点を先制する。守り切りたい流通経済大柏は再三、走者を出しながらも、無得点に抑え、9回裏を迎える。

 後がない八千代東。2番遠藤 直輝(3年)が死球で出塁。3番川村 太郎(3年)は一邪飛で倒れたが、4番加藤 太基(3年)がレフトの頭を越える左越え二塁打で、一塁走者・遠藤が全力疾走で、本塁へ向かう。流通経済大柏も素早い連携プレーでバックホームするが、僅かに遠藤の足が上回り、1対1の同点に追いつく。同点劇に沸く八千代東スタンド。

 流通経済大柏はここで動いた。ここまで力投の杉浦から左腕の木村 亮太(3年)へスイッチ。木村は全力投球。二死二、三塁とするも、なんとかサヨナラを防ぎ、延長戦に持ち込んだ。

 延長に入り再び試合が動いたのは12回表。
先頭の7番石井 一成(3年)の敵失で出塁。8番瀬川 翼(3年)が死球で、無死一、二塁のチャンスを作り、9番木村が犠打を成功させ、一死二、三塁のチャンスに。ここまで1安打の諸積 怜(3年)。何とか決勝打を打ちたいところだ。

 諸積は初球、すくスクイズを試みた。だがファールとなり、1ストライク。1ボール1ストライクからカーブを空振り。2ストライクと追い込まれた。

 八千代東バッテリーはカーブで空振りを奪っているのを見て、もう一度、カーブで勝負することを選択した。ストレートよりも打ち取れる可能性は高いと考えたのだろう。


 だが諸積はそれを待っていた、低めに落ちるカーブをなんとか喰らい付いて振り抜いた打球は左中間を抜ける二塁打となった。二者生還し、3対1と勝ち越しに成功する。

 さらに2番五十嵐 洸平(3年)が右中間を破る三塁打を放ち、4対1。八千代東はここで完倉を諦め、投手交代。2番手に左腕の高橋 優樹(3年)を投入するが、流通経済大柏の攻撃は止まらない。3番渡辺 大成(3年)が左中間を破る二塁打で、5対1。

 そして4番大森が初球の高めの直球を振り抜き、ライトスタンドへ消える2ランホームランとなり、7対1とさらに点差を広げた。まだ連打は続き、5番三上 寛(3年)のレフト越え二塁打、6番永井の右中間二塁打で、8対1。

 なんと延長12回に6者連続長打で、一挙7得点を入れた。八千代東の反撃の意欲を削ぐ見事な攻撃であった。

 その裏、木村が守りきり、試合終了。流通経済大柏が5回戦進出を果たした。勝因は木村の快投に尽きるだろう。9回に登板してサヨナラをピンチをしのぎ、3回と2/3イニングで6奪三振を奪った。

 僅差で、後半戦を迎えれば、表攻めのチームは基本的に不利である。同点でランナー三塁の場合、安打だけではなく、犠飛、バッテリーミス、エラー、ボーク、打撃妨害とあらゆるケースで点が入る。木村はそんな状況のなかで、サヨナラに許さなかった。それが味方の反撃につながった。

 延長12回に一挙7得点をあげた打線。延長戦に入るまで彼らは点を取ろうという気持ちが強く、狙い球に対して、しっかりとバットがでていなかった。しかし点を取り精神的に楽になったのか、吹っ切れたように6連打が飛び出した。

 これで4年連続のベスト16。2011年以来のベスト8まであと1勝となった。2011年は準決勝まで進出したが、先輩たちを超える戦いを見せることが出来るか注目をしていきたい。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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