早稲田実業vs都立武蔵村山
早実5回コールドで5回戦へ
秋と春は早々に敗れ、ノーシードではあるものの、西東京の各校の監督は早稲田実業がノーシードであることに、むしろ脅威を感じている。早稲田実業には、それだけの実績、伝統があり、実力のある選手が揃っていることは確かだ。
4回戦の相手は、2年連続して4回戦に進出した都立武蔵村山。都立武蔵村山の先発は、2、3回戦と同じように、背番号13、1年生の川島圭伍だ。
1年生の川島にしてみれば、名の知れ渡っている打者が揃う早稲田実業には、どうしても慎重に入らざるを得ない。1回表早稲田実業の1番打者山岡仁実には、ワンストライクの後、3球続けてボール。内角に甘く入った5球目を山岡は見逃さず、二塁打。続く山田淳平のバントを、投手の川島が処理しようとして、尻餅をついて内野安打に。3番兼城賢人は初球を叩き、左翼手の頭を越える三塁打。続く加藤雅樹のセンターへの浅い飛球は犠飛となり、この回3点。試合開始早々の3点は、都立武蔵村山にとって、精神的にも大きなダメージになった。
3回表には3番兼城から8番安部多聞までの6人連続安打などで一挙4点。この時点で安打がないのは、先発投手の松本皓だけになっていた。
大量リードを受けて、松本は肩の力を抜いて、ストレートやスライダーなどで都立武蔵村山打線を抑える。3回投げて、打たれた安打は、1番神田一の左前安打だけだった。
一方都立武蔵村山は3回途中から背番号1の3年生・高橋南帆が登板。しかし4回表に1点を失い、5回表には3安打、3四球で4点を献上。5回コールドが成立する10点を上回った。
早稲田実業は加藤が二塁打を2本打ったのをはじめ、山岡、兼城、寺島拓海がマルチ安打を記録。投げては、4回は西山諒、5回は立川尚登という、昨年も実績がある投手が登板。好投手が1回限定で投げれば対処は困難だ。結局、4回、5回とも3人ずつで攻撃が終わり、12対0、5回コールドで早稲田実業が圧勝した。
早稲田実業は、秋と春に勝てなかったことが不思議なほど戦力が充実している。ただ次の相手は実力校の東海大菅生。戦力が充実したチーム同士の対戦は、好ゲームが予想される。と同時に、早稲田実業の真価が問われる一戦だ。
都立武蔵村山は、早稲田実業の存在感の前に屈した。それでも先発の川島は1年生。捕手の今村翔太、3番の村野雅斗、5番の澤田賢人、唯一の安打を記録した1番の神田らは2年生。彼らにとって強豪・早稲田実業と試合したことは、貴重な経験になったはずだ。
しかも、2年連続での4回戦進出は立派な戦績だ。しかし、さらに先に進むには、もう一段のレベルアップが必要だ。高い意識をもって、練習してほしい。
(文=大島裕史)