試合レポート

山形中央vs山形南

2014.07.16

山形中央がコールド発進

 球場に入ると、すぐに2人のスカウトにお会いした。山形中央には石川直也という長身のプロ注目右腕がいる。周りを見ると、各球団のスカウトがズラリ。夏の大会が最終チェックとなるため、スカウトはいつ投げるか分からない投手を目当てに球場に集う。山形中央の初戦とあって、大勢のスカウトがスタンドに陣取っていた。

 この日の[stadium]山形県野球場[/stadium]での1試合目は、山本学園鶴岡南山本学園昨秋、創部26年目にして県大会で初優勝したチームだ。今春は県大会で準優勝。対する鶴岡南昨秋の県大会で準々決勝敗退。今春は地区予選で敗れ、県大会に出場を逃した。秋、春の戦績を見れば、山本学園が有利なのは一目瞭然である。それが、3対2で鶴岡南山本学園を破った。〈番狂わせ〉である。

 さて、山形中央山形南の一戦。先攻は山形中央山形南の先発はエース・朝烏慶太郎。勢いのある球を放る、1年生の時から活躍を見せる投手だ。その朝烏の立ち上がりを山形中央は攻めた。

 1番・佐藤心晴がカウント1ボール1ストライクから左中間へ二塁打。2番・高橋隆生が初球でバントを決め、犠打になるかと思われたが、山形南のサード・高橋謙介がエラーし、無死1、3塁。3番・高橋稜佑が初球をセンター前に運び、あっという間に先制した。

 打席に4番・青木陸が入った。2年生の長距離砲であるが、ここは外角高めにバットが出て空振り三振。しかし、ここで流れは切れなかった。5番・永井大地がセンターオーバーの2点タイムリーを放ち、6番・高橋和希がセンター前ヒットで続く。7番・中村颯はセカンドの横をしぶとく抜いてライトへタイムリー。4点目を奪った。ここで山形南は先発・朝烏から、ライトを守っていた東海林光治に交代。東海林は空振り三振、投ゴロに打ち取り、後続を断った。


 山形中央の先発は2年生左腕・佐藤僚亮山形南は左打ちの1番・石山将太が上手く流し打って左安で出塁した。2番・植松邑気が犠打を決め、一死二塁。3番・高橋は見逃し三振に倒れたが、4番・板垣順也がストレートの四球で歩く。一死一、二塁とチャンスだったが、5番・井上大輔はスライダーに空振り三振。得点には至らなかった。

 山形中央は3回、二死満塁から1番・佐藤心がセンター前に2点タイムリーを放って追加点を奪うと、4回には5番・永井がライトへ特大アーチを描いて1点を加えた。

 試合は9対1で山形中央が7回コールド勝ち。佐藤僚山形南打線を4安打に抑えて好投し、攻撃は15安打と強力援護した。

 今春の県大会は1回戦で日大山形と当って敗れた山形中央。早々、姿を消したが、今大会までの時間を有効に使えたようだ。春よりも確実にチーム力が高まっている。この日も含め、各地で〈優勝候補〉と予想されてきたチームが涙を飲んでいるこの夏。山形中央はどこまで駆け上がっていけるか。今日は登板がなかったが、エース・石川がマウンドに立った時のチームも楽しみだ。

 一方の山形南山形中央のペースで進んだ試合だったが、気をはいたのが3番・高橋だった。初回こそチャンスで三振に倒れたが、3回には一死一塁から三塁線を抜く二塁打を放ち、6回には先頭でライト戦へ三塁打。4番・板垣のショートゴロの間に唯一のホームを踏んだ。

 山形南は進学校の男子校。統率のとれたそろった応援は迫力があり、まるで甲子園のアルプススタンドのようだった。石井貴之監督は母校・山形南に赴任して2年目。1980年以来の甲子園出場に燃えている。あの応援が甲子園で聴ける日を心待ちにしたい。

(文=高橋昌江

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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