試合レポート

中央学院vs千葉明徳

2014.07.15

エース対決は中央学院に軍配!Bシード・千葉明徳を下す!

 千葉明徳vs中央学院
名前だけ見れば、2回戦で激突するカードではない。今回の注目は両エースである。

 千葉明徳のエース・畠山 滉平(3年)は左腕から常時130キロ後半の速球、キレのあるスライダー、カーブを武器にする本格派で、簡単に打ち崩すことはできない投手。

 一方、中央学院石井 聖太(3年)は右の本格派右腕。
1年夏から登板しており、その時は球速はそれほどでもなかったが、土台となるフォームが良く大きな可能性を感じた。また当時は線が細く、筋力的なモノが不足していたが、今では1年生の時に比べるとだいぶたくましくなり、球速も140キロ前後まで達した。

 2人が投げ合えば、投手戦になると予想された。
しかし先発したのは、千葉明徳は背番号10の清藤 和夫実(2年)、中央学院田畑 貴章(3年)だった。

 先制したのは千葉明徳。1回表、敵失で出塁した山下 大貴(3年)を二塁において、4番長谷川 大成(3年)が中越え二塁打を放ち、1点を先制。さらに5番小関 敏弘(3年)の中前適時打で2点を先制する。

 3回裏、中央学院は1番張替 亨(3年)が中前安打を放ち、張替はすかさず盗塁を決め、2番岡田 大聖(3年)が右前適時打で同点。さらに岡田は二塁へ到達。

 ここで千葉明徳は投手交代。エースの畠山を投入。
畠山は一ゴロ、空振り三振、四球、空振り三振と安打を許さず、ピンチを切り抜ける。さすがエースである。

 そして4回表、二死一、二塁、9番畠山を迎えたところで中央学院はエース石井を投入。
石井の登場に千葉明徳ベンチ、スタンドが待ってましたといわんばかりに沸く。

 エース同士の対決。石井は畠山を打ち取り、こちらもピンチを切り抜ける。


 ここからは両エースの投げ合いに。

 畠山 滉平はインステップ気味に踏み出し、テークバックを大きく取って、シャープに腕を振り抜き、常時135キロ前後(最速138キロ)のストレート、120キロ前後のスライダー、100キロ前後のカーブのコンビネーション。高低を使い分け、奪三振ラッシュ。

 対する石井 聖太は下半身の体重移動がスムーズで、内回りのテークバックから振り下ろすストレートは常時130キロ~135キロを計測し、スライダー、カーブ、フォークを投げ分け、打たせて取る投球。畠山のような奪三振ラッシュではないが、ランナーを出しながらも粘り強く抑えることが出来ていた。

 内容だけを見ると、畠山が上のように思える。6回表に千葉明徳が8番新野 雄大(2年)の適時打で1点を追加し、3対1に。これで千葉明徳が有利かと思えた。
しかし、畠山の投球で気になったのはストレートがベルト寄りに集まっていること。ベルトゾーンは打者にとって振りやすいコース。伸びのあるストレートで、空振りを奪う事は出来ていたが、球威が落ちると絶好球になりやすい。

 中央学院は速球に対してのアジャストが早く、5回は二、三塁、6回は満塁の好機を作っており、もう一波乱ありそうな試合展開だった。

 そして迎えた7回裏、中央学院は4番中山 裕規(2年)が左前安打で出塁すると、5番脇坂 康平(2年)が直球を振り抜き、ライトの頭を越える長打となる。中山は一塁から一気に生還し、3対2と1点差に迫る。

 続く打者は途中出場の山本 隼(2年)。
高めに浮いた直球を見逃さずフルスイング。打球はぐんぐん伸びて、レフトスタンドへ。なんと2ランで中央学院が逆転に成功。

 本塁打の瞬間、中央学院の選手たちはベンチから飛び出し、喜びを見せる。そして本塁打を打った山本隼を手荒い祝福で出迎えた。

 1点を追いかける千葉明徳は、8回表に一死満塁のチャンスを作るが得点に至らない。するとその裏、二死二塁から4番中山が中越え三塁打を放ち、5対3と点差を広げる。

 中央学院はエースの畠山から4点を奪う。これには千葉明徳ベンチも誤算だっただろう。


 そして9回表、石井は全力投球。
130キロ前半だった速球は9回は135キロ~138キロの速球を連発し、簡単に二死を取ると、最後の打者は先制打を放った4番長谷川。ストレートで空振り三振に打ち取り、試合終了。
石井はガッツポーズを見せ、整列に入った。

 Bシード・千葉明徳が敗退。
ただこれは決して番狂わせではなく、中央学院昨夏5回戦まで進出しており、このチームになってからは上位進出こそないが、昨夏から主力の石井が残っているので、怖いチームであった。

 勝利の要因としては好投手の投球に対しても怯まずに甘い球を狙って振り抜くことができていたこと。好投手に対しての戦い方を実践出来ていた。

 このようにノーシードからでも強豪校を破ってしまう学校が出てくるのが千葉県の怖さ。
[stadium]千葉県野球場[/stadium]はAシードの専大松戸松戸国際が苦戦しており、シード校のレベル差が縮まっているのを実感する。

 千葉明徳の他に、Cシードの千葉敬愛も敗れている。
シード校敗退は連鎖していくもので、この夏の千葉大会はもう一波乱がある大会になりそうだ。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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