試合レポート

富山商vs小松大谷

2014.06.08

大型左腕・森田駿哉、尻上がりに調子を上げ、11奪三振完投勝利!

富山商vs小松大谷 | 高校野球ドットコム 

森田投手(富山商)

 今年の富山県で最も注目を浴びている投手が富山商森田 駿哉(3年)である。
183センチの長身からコンスタントに140キロを計測する左腕で、彼を見るために多くのスカウトが集まり、評判通りの快投を見せてくれた。
立ち上がり、リズムに乗り切れず、制球を乱し2回裏に二死一、二塁のピンチを招く。ここで捕手の富川 征哉(3年)はマウンドに駆け寄って「森田も、自分も緊張していて、上がっていたところがあったので、とにかく落ち着こう」と間をとり、この回を無失点で切り抜ける。

 ピンチを切り抜けた直後の3回表、富山商は森田が安打で出塁すると、犠打などで三塁まで進み、3番坂本 潤一朗(3年)の左中間を破る二塁打で、1点を先制する。

 ピンチを切り抜けたことで、緊張がほぐれてきたか、森田は尻上がりに調子を上げていく。4回裏に6番村田 直樹(3年)を三振に奪ってからは奪三振ラッシュ。5回はアウト3つを全て三振、6回も三振1個、7回には三者連続三振を三振ラッシュを始めた4回三アウト目から8奪三振。

 試合後半から今大会屈指左腕に相応しい投球を披露してくれた。森田は速球、変化球のキレ、制球力、クイックとすべてにおいてハイレベルな投手。投球フォームは開きが抑えられ、テークバックも小さく取りながら、スムーズな旋回からシャープに腕が振れる投手で、140キロ前後(最速143キロ)のストレートが内外角にコントロール良く決まった。ストレート、100キロ台のカーブで追い込んで、打者の手元で鋭く落ちる120キロ台のスライダーで三振を量産した。投球術だけではなく、森田はクイックも1.1秒~1.2秒を計測し、速いクイックができている。

 またマウンド上での感情の起伏が小さく、エラーが出ても苛立ちを見せることはなく、笑顔でナインに声をかけており、精神的にも落ち着いている。

 ドラフト候補に挙がる大型左腕・田嶋 大樹佐野日大)のような145キロ前後を連発するような爆発力はないが、常に80点~90点の投球が出来て、ゲームメイクが出来る。プロ、大学、社会人など高いレベルで活躍するには不可欠な要素である。


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好投を見せた石田投手(小松大谷)

 マウンドで躍動する森田は打席でも7回表に自ら2点目となる適時打を放ち、さらに一塁走者として、2番横道の長打が飛び出た後、小松大谷の守備のミスを見逃さず、3点目のホームを踏む好走塁を見せた。野手としてもしっかりと活躍を見せ、投球だけではなく、野球選手としてのスキルの高さを感じさせた。

 8回まで無失点。完封の期待がかかったが、先頭に二塁打を浴び、二死三塁から下口 玲暢(2年)の適時打を浴び、完封を逃す。それでも後続の打者を抑え、1失点完投勝利。試合後、森田は「9回の投球がダメですね。いきなり先頭打者に甘い球を二塁打を打たれてしまったので、9回は3人で終われるようにしたいですね」とコメント。次の試合へさらに調子を上げていけるか注目だ。

 敗れた小松大谷。西野監督は、「投手は調子が上がらない中でも、7回途中まで投げて3失点。よく頑張ってくれたと思います」先発の石田 翔一(3年)が試合を作ったことを評価していた。

 また課題としては「守備ですね。まだ小さなミスで失点を許していることが多いので、それを修正していければ」と話したとおり、この試合でも連係のミスから得点を許した場面があった。ミスを少しずつ減らしていければ、エース山下 亜文(3年)、リリーフで好投した木村 幸四郎(2年)と投手は揃っているだけに、夏は星稜の対抗馬として期待できるチームへなっていくのではないだろうか。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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