試合レポート

日大三島vsいなべ総合

2014.05.24

後半に4点差を逆転、見事な集中打!

日大三島vsいなべ総合 | 高校野球ドットコム 

1点差に迫る2ランを放った大島惇平
(日大三島)

 前半はいなべ総合の流れで進んでいった試合だったが、後半になって流れがガラリと変わってしまった。日大三島が6回に追い上げ、8回に逆転した。日大三島にとっては初めて、東海大会の決勝進出を果たした。

 前半の5回を終わって4点差をつけられていた日大三島だったが、川口剛監督はベンチで、「1点ずつでも返していけば、まだチャンスは十分にあるはずだ」ということを言い続けていたという。事実、日大三島は6回に先頭の1番望月天馬君(3年)が三遊間を破るヒットで出ると、続く高田亮真君(3年)がきっちりと送って、まずは1点を返していく姿勢を示した。そして、最も期待が出来るという3番中泉圭祐君(3年)がセンター前へ会心の当たりを放ち、1点を返した。さらに、力のある4番の大島惇平君(3年)の一振りは、92mのライトスタンドに飛び込む2ランとなり、1点差とした。

 ここまで好投してきたいなべ総合市川純輝君(3年)だったが、三巡目を迎えて、いくらか球筋を見られるようになってきていたというところもあるかもしれない。それに、6イニング目となり球数も増えて、コースもいくらか厳しいところを突ききれなくなってきていたということもあったのだろう。しかしそれ以上に、そこをすかさず打っていった日大三島打線が見事と言っていいだろう。

 そして、1点を追う日大三島は8回に二つ放ったファウルフライが流れを呼び込むことになった。

 この回、先頭の高田君は後方に打ち上げてしまった打球だったが、それをいなべ総合のキャッチャー・中園佳宏君(3年)が見失ってしまいファウル。その後に一、二塁間を破るヒットで出塁。ここで前日も本塁打を放っている注目の好打者である3番の中泉君だが、5球目を真上に高々と打ち上げてしまう。ただ、力のある中泉君の飛球はことのほか高かった。追いつきながらも、タイミングを合わせ損なった中園君は捕球タイミングがずれて、ファウルとしてしまった。その直後に、中泉君は右中間の一番深いところに運んでいき、無死二、三塁となった。

 いなべ総合もここで踏ん張って、前日も好投し7回からリリーフしていた祝大祐君(2年)が二死まで我慢した。だがそこで一息ついたということでもないのだろうが、気持ちでは上回っていた6番小澤怜史君(2年)がライト前へ弾き返して、二者を返した。小澤怜史君は5回から三人目の投手としてマウンドにも登り、当たっていたいなべ総合打線を抑えてきていたが、自分の好投に自らのバットで報いた形になった。


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本塁タッチアウトで試合終了、劇的勝利を喜ぶ日大三島ナイン

 そして、このリードを守るべく9回のマウンドはエースナンバーを背負った小澤拓馬君(3年)に任された。先頭打者にヒットを浴びるなど、二死二塁のピンチとなり、水谷祐斗君(3年)のライト前ヒットで、同点かという場面になった。ただ最後は、マウンドからライトに回っていた小澤怜史君が本塁へ好送球で刺し、これでゲームセット。劇的な勝利で、日大三島ナインは大きくはじけた。

 日大三島は、初の東海大会決勝進出となった。「新しい歴史を作っていこうということで、この大会に臨んだのですが、県大会では経験できないようないい相手と戦うことができて、とてもいい経験をさせていただいていると思います」と、川口監督はここまでの快進撃と、大会を通しての収穫を実感していた。また、選手たちにとってもこうした経験は初めてで、大いに盛り上がっていた。

 前日は評判の好投手でもある県岐阜商の高橋純平君(2年)を攻略したいなべ総合打線。この日も、初回は市川晃大君(2年)と伊藤将大君(2年)の連続安打などで好機を作り、幸先よく先制。4回にも出井伸平君(3年)と市川晃大君の2本の三塁打に伊藤君のタイムリーなどでリードを広げていったが、後半は守り切れなかった。

 試合の流れやシチュエーションを大事にするいなべ総合の尾崎英也監督である。このまま、いい流れをキープしていきたいというところだっただろうが、前半と後半ですっかり試合の流れが変わってしまった。見ている側としても改めて、野球においての試合の流れの作り方、良い流れの維持の仕方など野球の難しさを示されたような気持ちにさせてくれた試合だった。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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