都立片倉vs都立小川
片倉・長島投手、毎回の13奪三振でチームもコールドで快勝
力投する都立片倉・長島君
前日の雨でいくらか湿り気を残してはいるもののグラウンド状態は悪くない。しかし、吹く風は予想以上に冷たく、ベストコンディションとは言い難いところである。そんな中での試合となった。
初回、お互いに複数の走者を出すものの、どちらも攻めきれなかった。そんな状態で試合は始まったが、迎えた2回、都立小川は1死から山田挙君、小山内君、伊藤愛君と7、8、9番という下位の3連打で先制した。都立小川としては詰まり気味ながら、ポトンと落ちる感じでの安打が続いたことも幸運だった。
しかし、都立片倉もその裏すぐに反撃した。死球で出塁した5番高橋君が内野ゴロで二塁へ進み、再び死球後8番早野君が狙いすましたように左越二塁打して同点。さらに、都立小川に外野飛球落球もあって、この回3点が入って逆転した。
このリードで、都立片倉の長島君はすっかり自分の投球リズムを掴んできた。130キロ前後のストレートもさることながら、スライダーのキレ味がよく、ポンポンと追いこんで空振りを奪って三振の山を築いていた。圧巻は7回で、いずれも決め球の鋭いスライダーで3者三振。
そして、まさに、守りから攻撃のリズムを作るという見本のように、その裏、失策と四球などで2死一二塁とすると、9番齋藤成君の打球は高く上がったが、風に流されたこともあって遊撃手後方に落ちた。これで6点目が入ると、1番へ返って佐々木康君は会心の右中間三塁打で7点目。二塁手の頭上をライナーで破ると、速い球足でそのまま右中間を抜けていくというものだった。さらに2四球で満塁となると、4番押切君が遊撃手グラブをかすめる安打でコールドゲームを決める8点目が入った。
佐々木康君(都立片倉)
都立小川としては、初回は遊撃手山田君の好判断でピンチを切り抜け、6回は2点を追加されて、さらに1死満塁という場面で小山内君をリリーフした松薗君が併殺で切り抜けるなど食い下がったが、及ばなかった。
足立哲哉監督は、「2回は上手いこと誤魔化して先制出来たんですが…、もちろん、そのままでいくとは思ってはいませんでしたけれども、ミスが出てしまってはね」と悔やんだ。攻撃に関しては、「長島君のストレートに的を絞っていったんですが、打ちきれませんでした」と残念がった。
終わってみれば、エース長島君が毎回の13奪三振で、スコア的にも開いて快勝という印象の都立片倉だったが、さらなる上を目指したい宮本秀樹監督は満足していなかった。「(長島投手は)エイヤッ!で投げていって、(野手の)間に落とされていって点を取られるという悪いパターンがこの試合でも出て、どうしようかと思ったんだけれども、後半は何とか良くなってくれましたね」と、長島君を評価していた。
それでも、「2月の雪がなかなか溶け切らなくて、雪かきばかりやっていて、野球をやれていないですからね」と、いくらか調整不足の中での投球と、この日のチームの試合ぶりについては納得していたようだ。
会場校としては、宮本監督は自分たちの試合もさることながら、増田直樹部長とともに、次の試合の段取りや準備も気にしなくてはいけない。会場校で、担当の教員が少ない場合は、こうした運営面での苦労もあるのだが、それでもまずは本大会の出場を決め、さらなる目標、まずは春季大会で夏のシード権を得られるベスト16を目指していくというつもりである。
(文=手束仁)