東陵vs青森山田
1失点完投の佐藤洸雅投手(東陵)
全校応援をバックに初の決勝へ!
東陵の1年生エース・佐藤洸雅が、青森山田を相手に1失点完投。チームは初の決勝進出を決めた。
「最後は0点に抑えたかったです」。
9回に犠牲フライで1点を失った完投に、エースは少し残念そうな表情を浮かべた。
だが、ここまで継投が勝ちパターンだったチームで、完投で掴んだ勝利。自身の今後への成長という観点で、一つのターニングポイントになった1勝ではないだろうか。
前々日の準々決勝・角館戦。7回途中でマウンドを降りていた佐藤は、終盤の激闘で投手陣が苦しむのを、ベンチで見つめるしかなかった。「自分が情けないピッチングをしてしまった」と悔しさを感じる。
台風接近による1日の延期を挟み、この準決勝のマウンドはいつも以上に気合が入っていた。
「今日こそはしっかりと抑えるという強い気持ちを持って臨みました」。
立ち上がり、力が入り過ぎで2つの四球を与えるが、無失点で切り抜けてからはリズムを掴んだ。中盤に何度かあったピンチでも、この日は低めへの制球が冴える。「キャッチャーミットだけに集中していた」と気持ちにブレはない。
後半は4点という得点差を利用して、割り切ったピッチング。スライダーをカウント球にしつつ、直球とチェンジアップで打たせていく。タイミングを外された青森山田打線は、フライアウトが多くなった。
「今日のピッチングは70点くらい」と採点した佐藤。0点にこだわっていただけに最後の1失点はやはり悔しさが残るが、「神宮大会に出たい」と勝てば出場がきまる決勝へ目を向けた。
初の決勝進出を決めた東陵ナイン
一方の、1回に三者凡退に終わった打線が2回に繋がり、一挙に3点。ゲームを優位に進めた。
1回の攻撃では2つの三振。中でも2番工藤翔(2年)が空振り三振に終わった時には、落ちる変化球にビックリとした表情を浮かべている。青森山田の先発・柴田祐斗(2年)は好調のように見えた。
しかし2回の攻撃前。東陵ベンチでは攻撃の意思確認を徹底する。
「変化球に開いてスイングしてしまっていた。ストレートを狙って、センター返し。全員で繋ぐ野球をしようと監督さんから言われました」と山﨑誠悟主将(2年)が明かす。
そしてこのイニング先頭の4番小林壱聖(1年)が、外角の直球を右中間へと弾き返す三塁打を放ち、攻撃の口火を切った。
続く5番伊東拓人(2年)が2球目をセンターへ運んで、1点を先制。狙い通りのセンター返し攻撃を見せた。
さらに犠打で二塁に走者を進めて、左打者の7番柴田優祐(2年)がレフトへタイムリー。このイニングもう1点を加えて、青森山田の柴田をノックアウトした。
「ピッチャーが(佐藤が1回のピンチで)頑張ってくれたので自分が何とかしようと。1回に3人で終わったからには、次は必ず出るという気持ちでした」と3点への口火を切った小林が話す。この4番も激闘となった角館戦でヒットを打てなかっただけに、悔しさをぶつけた一戦でもあった。
「次の1点が大事だと思っていた」(千葉亮輔監督)という東陵は、5回に一死一、三塁から2番工藤がスクイズ。何が何でも取りに行った1点をきっちりものにして、エース佐藤の快投へと繋げた。
「勝ったのはとてもうれしいですけど、東北で2番目に入っているという実感がまだないです」と胸中を話した山﨑主将。この日は全校応援。それも大きな後押しになったという東陵ナインが、初優勝を目指し決勝に挑む。
(文=編集部)