松山聖陵vs北条
松山聖陵「県大会優勝最有力候補」を感じさせる圧勝
松山聖陵先発・木村智彦(2年)
「圧倒的」。
その三文字が最もふさわしい松山聖陵の試合運びである。
2回表には一死満塁から8番・加藤裕史左翼手(2年)からの3連打などで5点を先制。6回にも一死三塁から1番主将・国吉翔平中堅手(2年)のこの日3安打目となる適時打などで再びの3連打で2点。積極的に次の塁を狙い続けるなど、1回戦で松山城南に11対0・6回コールド勝ちの勢いを駆る愛媛北条・澤田勝彦監督のベンチワークをも無力化させた彼らの「みんなで和を持って闘う」(荷川取秀明監督)積極性は、実力差以上の点差をスコアボードへ灯すことになった。
加えて投手力には如何ともしがたい差があった。最速142キロ右腕・木村智彦(2年・173センチ68キロ・右投右打)は、「キャッチャーの構えているところへ思い切って投げる」威力あるストレートを中心に6回3分2で愛媛北条打線を4回二死から3番・平田伊吹中堅手(1年)、4番・島田佳人左翼手(2年)から食らった2安打のみに封じ、96球で13奪三振。
スピードは130キロ前半ながらも、ボールの伸びは見るべきものが多かった。また、7回表2死からは183センチの石川大祐(2年)がマウンドへ。5球で試合を締めた。
ちなみに4年ぶり5度目の優勝を果たした中予地区新人戦で木村、石川と普段は3番右翼手・一塁手を兼ねる左腕・石丸健太郎(2年)が登板済。その他に加藤・183センチの1年生・上甲陸の両左腕などもスタンバイしており、投手スタッフについては四国内でも5本の指に入ると言っても過言ではない。
今夏愛媛大会で坊ちゃんスタジアム右翼席中段まで飛ばすパワーを見せ付けた5番・照屋雄大三塁手、右翼手・左翼手・一塁手とどこを守っても俊足を利した守備範囲の広さが光る7番・藤田大輝など、1年生にも楽しみな素材が多い松山聖陵。この日第1試合に登場した済美とのチームバランスを比較した場合、「県大会優勝候補最右翼」の称号を彼らに与えたくなるのは、筆者だけではないはずだ。
(文=寺下友徳)