横浜vs丸亀
横浜、「タレント力」で丸亀を制圧!
この日の甲子園は浜風とは異なるレフトからライトへの凪状態。しかし、準々決勝で今季ドラフトの目玉・桐光学園左腕・松井裕樹(3年)を攻略するなど、圧倒的なタレント力で激戦神奈川を勝ちあがってきた横浜にとって、風向などは「添え物」に過ぎなかった。
3回裏。一死から9番・根本耕太右翼手(2年)が放った左翼線二塁打が、「横浜タレントショー」の始まりだった。
1番・川口凌三塁手(2年)が根本とほぼ同じコースに流し打つ二塁打で先制すると、なおも一、三塁から松井から逆転2ランを放った3番・浅間大基中堅手(2年)が右中間を深々と破る2点二塁打。それまで丁寧なピッチングが光った丸亀左腕・宮﨑耕大(3年)に対し、わずか11球で主導権を奪ってしまう集中力は流石の一言である。
さらに圧巻だったのは5回表だ。一死二、三塁で打席に立った4番・高濱祐仁遊撃手(2年)は宮﨑の初球127キロストレートを腰回転だけでレフトスタントへ運ぶ大会第20号3ラン。正に松井から横浜スタジアムバックスクリーンに叩き込んだ一発に匹敵する驚愕アーチであった。
このように中盤で試合の趨勢は決まったが、丸亀はその後も自分のツボに入ったときのフルスイングと、それ以外のコースへの待球作戦で横浜左腕・伊藤将司(2年)に対抗。9回裏には二死一、三塁から3番・次田篤史三塁手が適時打を放つなど8安打で意地は見せたが、14奪三振を奪った伊藤の制球力とタレント力に屈した。
(文=寺下友徳)