修徳vs大分商
守りでリズムを作り、そして突き放す!修徳が2回戦進出!
この一戦。試合前は打撃戦が予想されていた。修徳(東東京)は6本塁打、6試合コールド。対する大分商(大分)は5試合で44得点を記録した打線が売りお互い打撃のチームとして勝ち上がってきたが、序盤は投手戦に。大分商の先発・笠谷 俊介(2年)。ワインドアップから振り下ろす直球は常時130キロ~135キロを計測。投球フォームは足を上げる右足がきれいにあがり、バランス良く立ち、なめらかな体重移動から繰り出し、リリースポイントも安定しており、ストレートの回転が綺麗だ。135キロ前後のストレート、切れのあるスライダーを右打者ならば内角、左打者ならば外角へ精度よく投げ分けていた。簡単には打てる投手ではないだろう。
この投手、本格化していないが、素質はなかなかのものがあり、継続的にマークされる存在になるだろう。理由としてはフォームのバランスが良く、キレの有るストレート、スライダーを生み出す土台があること。そして体力面で伸びしろがあること。172センチ54キロ。体重の増加で球速面も変わっていくだろう。
修徳の西林 賢人(3年)はコントロール重視の投手。130キロ前半の直球、スライダー、チェンジアップを投げ分けて打たせて取る投球。試合が動いたのは3回表、二死から死球で出塁した2番水口 敬太(3年)を一塁に置いて、3番宮崎 蓮(3年)が左超え二塁打を放ち、二死二、三塁とすると、4番福地 隼人(3年)が右前適時打を放ち、2点を先制する。
追う修徳は小沢 昌彦 (3年)が四球で出塁すると、森田 寛之輔 (3年)の犠打で、一死二塁とすると、3番飯野の初球で小沢が初球盗塁を決め、一死三塁から飯野の二塁野選で1点を返す。
なかなか大分商の笠谷を打ち崩せずにいたが、6回裏、一死二塁から2番森田が外角を巻き込んで逆転2ランを放つ。ようやく修徳らしい強打が出た。この当たりで修徳ペース。7回裏には二死三塁から7番保科の左前適時打で1点を追加。8回裏には二死満塁のチャンスから4番山下竜治(3年)が左前2点適時打で6対2とすると、ここで投手交代。大分商は中野 貴仁(2年)を投入。中野は常時140キロ前後・最速142キロの直球で押していく。まず5番小林 滉(3年)が二飛に倒れ、二死一、二塁から6番酒井 良樹 (2年)が直球を捉え、右中間を破る三塁打で二者生還し、8対2とする。
修徳は西林、左腕の桜井 政利 (2年)、遊佐 和輝 (3年)の投手リレーで大分商を振り切り、2回戦進出を決めた。
結果的に試合は修徳が自慢の打力を発揮したが、前半はリズムの良い投手戦と思っていたが、ちょっとしたきっかけで大きく点差が広がったゲームとなった。両チームとも実力差はそれほどでもないのだが、チャンスに入れられるか、入れられないかで点差は大きく広がってしまう。修徳は甲子園に行くために打撃を磨いて打撃のチームと呼ばれているが、本来は守備が良いチームである。この試合では無失策を記録。安定した守備に投手は制球力重視の投球で、打たせて取る投球を内野手が確実に打球をさばく。能力の高さで物をいわせるのではなく、確固とした技術で、着実に実績を伸ばしてきたチームである。指導者を中心に基礎を徹底的に叩き込んでいるのだろう。今年は野球が上手いながらもその中でたくましさをもった子が多い。ここぞというときの勝負強さも光っている。
負けたとはいえ、大分商は2年生に楽しみな投手が多い。先発の笠谷に、140キロ台を計測した中野、3番宮崎に、5番・後藤 瞭介(2年)。ポテンシャルの高い選手がそろっている。この悔しさをばねに再び来春、来夏で甲子園に戻ることが出来るか注目である。
(文=河嶋 宗一)