試合レポート

平塚学園vs桐蔭学園

2013.07.29

エース熊谷の力投にナインが応える!平塚学園がサヨナラ勝ちで15年ぶりの決勝!

 今春準々決勝以来の一戦。今年の神奈川を代表する左右の本格派。桐蔭学園斉藤 大将(3年)、平塚学園熊谷 拓也(3年)の対決はこれほど面白いものはないだろう。

 桐蔭学園は1番窪田 剛士(3年)がニゴロエラーで二塁まで進塁。さらにパスボールで三塁へ進むと、2番土屋 健太(3年)の二塁打で先制、3番清水 翔太(3年)の犠打で一死三塁として、4番増田 陽太(3年)のニゴロで2点目を入れる。

 

初回に2点を失ったが、熊谷だが、速球中心の投球で立ち直りを見せて、初回以降は無失点で抑える。追う平塚学園は5回裏、一死から8番石井 皓大(2年)が死球で出塁。桐蔭学園の斉藤は俊足・石井を執拗にマーク。石井は盗塁を仕掛け、スタートを遅らせることに成功。タイミングとしてはアウト。だが内野手が入るのが遅れ、ボールはセンターへ転々と転がり、三塁へ。9番長谷川 恭哉(3年)が犠飛を放ち、2対1に。

 斉藤は1点を取られたが、粘り強い投球で凌ぐ。130キロ後半の速球、スライダー、カーブ、チェンジアップを淡々と投げ込み、要所では厳しいコースへ投げてしのいでいた。

 打線はランナーを進めるが、なかなか得点ができない。8回表には一死から3番清水の安打、4番増田の中前安打で一死一、三塁のチャンスをつくり、5番斉藤は浅い中飛で犠牲フライならず、6番加園 将也(3年)の死球で二死満塁のチャンスをつくるが、7番高橋 塁(3年)がニゴロに倒れ、無得点に終わる。

8回裏、平塚学園は9番長谷川が二塁手・高橋の失策で出塁。ここまで素晴らしい守備を見せていた高橋がまさかの失策。やはり準決勝の終盤は何かが起こる。1番大谷 楓(3年)が左前安打を放ち、無死一、二塁。2番蛭田 堅斗(3年)は犠打、3番角井 将治(3年)は投手へ鋭いライナー。斉藤はキャッチしたように見えたが、落としてしまった。完全捕球ではなかった。ただ止めただけでも十分だろう。二死ニ、三塁となって、そして4番熊谷。1ボール1ストライクから斉藤がボーク。思わぬ形で同点に追いつく。


 そして9回表、8番伊勢が中前安打、9番星が犠打を決め、1番窪田はニゴロで二死三塁、2番土屋は死球で、二死一、三塁となって3番清水。熊谷は全力投球。この日最速の142キロのストレートを連発。清水は必死に食らいつくのみ。熊谷は後半にかけてギアを入れていた。序盤は135キロ前後であったが、ただ淡々と投げているように見えたが、後半になってから全力投球。常時140キロ前後のストレートが決まっており、素晴らしいストレートであった。気合が入ったストレートになかなか打ち返すことができない。そして清水を空振り三振に切って取り、ピンチを切り抜けた。

 9回裏、平塚学園は二死から8番石井が死球を出塁。俊足の石井が出塁。ここは盗塁警戒だろうと思っていたことであった。あれほどランナーから見破りづらいクイックモーション、牽制を見せていた斉藤が全くの無警戒で右足を大きく挙げたのだ。ランナーは当然スタート。盗塁は成功し、二死二塁でサヨナラのチャンス。今まで出来ていたことができない。斉藤は疲労のピークによって緊張の糸が切れていたのが走者無警戒の投球からも伺えた。
 それもそのはずで、桐蔭学園は7戦目である。他のシード校に比べたら1試合多い。斉藤は横浜創学館戦で延長15回と再試合の9回を投げ抜き、合計24イニングを投げ抜いている。それまで気持ちで我慢していた男だが、緊張の糸が切れたのだろう。9番長谷川に四球を与え、1番大谷に右中間を破る二塁打で二塁走者が生還。平塚学園が15年ぶりの決勝進出を果たした。

 後半以降の戦い方が結果となって現れた。桐蔭学園は2点を先取してからは追加点を奪えず、斉藤が必死に守っている立場。平塚学園は追う立場。熊谷が実に心がこもった投球を見せていた。終盤以降の140キロ連発のストレートでねじ伏せる投球を見て、ナインが燃えないはずがない。桐蔭学園平塚学園の気迫とそして点を守りきらなければならないという気持ちが重圧ミスを呼び、同点を許し、そして頼みの斉藤が最後力尽きてしまったのだろう。サヨナラ勝ちを呼び込んだのは熊谷の2回以降を無失点に抑え、反撃のチャンスを作ったことが一番だろう。簡単に追加点を与えなければチャンスを呼び込むことはできるのだ。

  15年ぶりの決勝戦へ進んだ平塚学園。相手は横浜昨秋の4回戦で対戦しており、平塚学園が勝利している。だが今の横浜は急成長。秋とは全くの別のチームのチームに成長を遂げている。熊谷を中心に気力溢れるプレーで、横浜に立ち向かっていきたい。

(文:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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