試合レポート

浦和学院vs聖望学園

2013.07.27

行き詰まる投手戦

 浦和学院小島和哉(2年)、聖望学園川畑諒太(3年)、埼玉を代表する好投手の頑張りで試合は1点を争う好ゲームとなった。
 浦和学院がエース小島、聖望学園が右アンダースロー長谷川裕也(3年)の先発で始まったこの試合、序盤はやや聖望学園ペースであった。
 浦和学院は初回、先頭の竹村春樹(3年)がライト前ヒットで出塁するが、続く服部将光(3年)がうまく送れず追い込まれる。2ボール2ストライクからエンドランに切り替えるが、結果は三振併殺で終え、長谷川を捕らえられない。

 一方の小島だが、前回完全試合を達成した影響からかやや立ち上がりは苦しんだ。その裏、一死から2番・笠原伸吾(3年)にレフト前ヒットを浴びると続く寺田和史(3年)に四球を与え一死一、二塁とピンチを招く。4番・中村郁人(2年)はピッチャーゴロの倒れるが、エンドランがかかっており二死二、三塁とピンチは続く。だが、5番・高橋優樹(3年)をショートゴロに抑え難を逃れた。

 2回表、この回先頭の木暮騎士(3年)がライト前ヒットを放つと早くも聖望学園ベンチは長谷川を諦め、エース川畑を送り込む。浦和学院は6番・斎藤良介(3年)の犠打がピッチャーへの小フライとなり、またも送れず後続も倒れ無得点に終わる。

 その裏、聖望学園はこの回先頭の田畑がライト前ヒットで出塁すると、続く吉田悠(3年)が送り一死二塁とする。だが、続く岩本哉智(3年)、川畑が凡退し得点を奪えない。聖望学園・川畑は、3、4回こそ死球からピンチを招くが、共に併殺で切り抜けるとその後は徐々に調子を取り戻す。ノラリクラリとした投球はこの日も健在で、得意の動く直球に変化球をきっちりとコーナーへ投げわけ5回以降は、自分のペースで投げ続ける。


 

 一方の小島も4回以降はエンジンがかかり三振が増え、試合は両投手の投げ合いで0対0のまま試合は中盤へと進む。
 6回裏、聖望学園は二死から4番・中村がレフト前ヒットで出塁すると、続く高橋がエンドランを決め二死一、三塁とする。だが、7番・田畑優樹(3年)は三球三振に倒れチャンスを生かせない。

 聖望学園は7回裏にも、この回先頭の吉田が右中間へ二塁打で出塁すると、続く岩本が送り一死三塁とする。スクイズも考えられた場面だが、聖望学園ベンチは強行を選択する。9番・川畑はセカンドライナー、続く清水優樹(3年)も凡退し聖望学園はどうしても1点が奪えず試合は終盤へと進む。

 迎えた9回表、この回先頭の山根佑太(3年)がレフト前ヒットで出塁すると、浦和学院ベンチは4番・高田涼太(3年)に送りバントの指示を出す。これが決まり二死後、今大会好調の6番・斎藤が右中間へ値千金のタイムリー三塁打を放ち1点を奪う。小島がその裏の聖望学園の反撃を抑え1対0で逃げ切った。

 聖望学園は、川畑は8回まで無失点の好投は見事だった。これまで3回敗れている浦和学院に対し意地を見せた。だが、打線がチャンスこそ作るがあと一本が出ない。特に序盤で小島から得点を奪えなかったことが最後まで響いた。

 一方の浦和学院、これで一番の山を乗り越えた形だ。小島は序盤ややもたついたが、終わってみれば強打の聖望学園打線を5安打完封に抑えた。幾度となく招いたピンチでMAX137kmの直球を内外角へほとんどコントロールミスもなく投げ分け勝負所で見せたその底力はさすがの一言だ。

 むしろ課題は打線か。この日は相手の川畑も良かったが、6安打に終わるなど爆発するまでには至らなかった。3番・山根、5番・木暮には当たりが戻ってきている。打撃陣での爆発はこの日もノーヒットに終わった4番・高田にかかっているといっても過言ではないであろう。決勝で彼の爆発に期待したい。

 

(文=南 英博)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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