試合レポート

木更津総合vs習志野

2013.07.27

夏の木更津総合。15年ぶりの千葉県連覇を決める

 第95回千葉大会決勝戦。2年連続出場を目指す木更津総合と2年ぶりの出場を狙う習志野の対決。名門校同士の対決もあってか、試合前から物凄い客の入りだった。内野席、二階席はほぼ満席、外野席も開放し、外野席もほぼ満員になるほどの大観衆。またネット裏から一塁側は幅広い年代の習志野ファンが埋めつくし、習志野の応援の一部であるレッツゴー習志野のレッツゴーの大合唱。この大声援が習志野ナインにとって大きな力になるだろう。逆に木更津総合ナインはかなりの重圧の中で戦わなければならない。だが木更津総合ナインはたくましい姿を大観衆の前に見せてくれたのだ。

 1回表、木更津総合は1番東 龍弥(2年)が右前安打を放ち、2番岡田 裕平(3年)が投前犠打で一死二塁として、3番猿田 瑞希(3年)が右飛で二死二塁となり、4番谷田 涼(3年)の四球で二死一、ニ塁として、5番寒河江 海人(3年)が左前適時打を放ち、1点を先制する。

 1回裏、習志野の攻撃。木更津総合の先発は延長13回を投げ抜いた千葉 貴央(2年)。1番國吉 竜也(3年)が遊撃内野安打、一塁送球が悪送球となる間に國吉は二塁へ。2番熊澤 陽平(3年)は投犠打。3番飯島 将輝(3年)は中前安打を放ち、1対1の同点に追いつく。

 2回表から習志野は先発の松本 壱成(3年)からエースの松山 大志(3年)が登板。松山が無失点で締める。

 さらに2回裏、一死から8番佐野 文哉(3年)の二塁内野安打、9番吉田 春樹(2年)の四球で一死一、ニ塁のチャンスを作ると、1番國吉がセーフティバント。三塁手の送球が乱れ、ファールゾーンへ転々。その間に二塁走者が生還し、勝ち越し。一塁走者は三塁へ。打者走者は二塁へ進むと、2番熊澤の場面で千葉がボーク。これで3対1。さらに熊澤が左前適時打を放ち、4対1とする。ここでさらに点を追加したいところであったが、3番飯島の死球で一死一、三塁となって4番松山が併殺に倒れる。3点を勝ち越したとはいえ、木更津総合からすれば、一番警戒していた松山を併殺に打ち取ったのはまだ試合は終わっていない。今後も反撃出来る心境になったのではないだろうか。

 ここまで3点のビハインドだが、木更津総合にとってはそれほど苦労しない点差だと思った。木更津総合は3年前の秋季大会になるが、千葉英和に8点のビハインドから逆転して、21対16で勝利するゲームを演じている。伝統的に打ち合いならば負けないチームなのだ。木更津総合打線が活気づいたのは4回表。まず5番寒河江が左前安打を放ち、6番逆井 将(3年)の痛烈な一ゴロで一死二塁。7番秋庭 豪太(3年)の四球で一死一、ニ塁として、8番檜村 篤史(1年)が中前安打を放ち、一死満塁のチャンスをつくる。9番千葉。千葉は捕ゴロ。千葉は自打球のためファールと判断したのか、走らなかった。結局、ファールと判定されたものの、これは良くないプレーである。なぜダメなのかというと自分から結果を判断していることである。もしファールと判断して、フェアと判定されたら簡単に併殺に終わり、チャンスを潰すことになる。判定されるまで目の前のプレーを一生懸命やる意味はここにある。

 ファールになったとはいえ、習志野の捕手・佐野 文哉はボールを拾ったあと、ホームベースを踏んで、千葉をタッチした。ファールになったが良い判断であった。ルールと状況を理解している捕手だからこそ、投手陣の持ち味を引き出したのだろう。

 


 話はやや逸れたが、試合再開である。千葉は適時打を放ち、4対2の2点差に。さらに1番東の中前2点適時打で4対4の同点に追いつく。さらに2番岡田の右犠飛で木更津総合が勝ち越しを決める。やはり木更津総合打線の火がついたときはやはり止められない。

 さらに5回表、4番谷田が左前安打を放ち、5番寒河江の投犠打で一死二塁として、6番逆井の四球で一死一、ニ塁として、7番秋庭の遊飛で二死二塁。8番檜村の適時打で1点を追加し、6対4とする。

立ち上がりに4失点を喫した千葉だが、尻上がりに修正をしていき、130キロ前後の直球、スライダー、カーブを織り交ぜ、習志野打線を抑え、リードを保っていた。

 追う習志野は無死から8番佐野文の中前安打、9番吉田の犠打で一死二塁として、1番國吉は二塁ライナーに倒れたが、2番熊澤の中前適時打で1点を返し、6対5とする。1点差に迫られる。8回には二死一、ニ塁のピンチを招いたが、8番佐野文の一、ニ塁間の痛烈な当たり。バウンドも強くはねて難しい当たり出会った。逆井がバウンドに合わせて見事なキャッチ。難しい当たりでヒットになっていてもおかしくない当たりを逆井の好プレーで同点を阻止した。

 そして9回裏、習志野は9番吉田が左前安打を放ち、無死から同点のランナーが出塁する。1番國吉が投犠打で一死二塁。好調の2番熊澤をニゴロに打ち取って二死三塁。そして先制打を放っている飯島。飯島は痛烈な三ゴロ。三塁の岡田ががっしりとキャッチし、一塁へ素晴らしい送球。木更津総合が2年連続の甲子園出場を決めた。

 2年連続の甲子園出場。千葉県で15年ぶりの連覇になるが、木更津総合は夏にかけて伸びるチームであること。試合後のインタビューで木更津総合の五島卓道監督がこのチームは6月に伸びると語った。大勢の人の前にそれを言い切ることができることに驚かされた。つまり木更津総合は夏に強いチームへ向けて戦えるチーム作りができているということなのだろう。これからも夏に強いということがポピュラーになれば、木更津総合は『夏将軍の木更津総合』など夏の強さを印象づけるフレーズが付くのが当たり前になるかもしれない。

 この試合、習志野の応援は本当に凄まじかった。この夏、見たチームでは一番の迫力であった。その応援が習志野ナインを後押しし、選手の力を発揮させてきた。それだけに木更津総合にかかる緊張は尋常ではないものがあっただろう。この経験は甲子園で必ず生きるだろう。なぜならば甲子園は習志野のように大応援団で乗り込んで一般の観客さえも巻き込むほどの応援するチームがある。その中で平常心でプレーする難しさ。木更津総合は千葉を中心に粘り強く戦い抜いた。さすが15年も連覇が遠ざかっていた戦国千葉を勝ち抜いたチームである。171校の思いを背負い、ぜひこの夏は木更津総合が甲子園で躍動することを期待している。

(文:河嶋 宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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