村上桜ヶ丘vs新潟明訓
春王者の貫禄、村上桜ヶ丘準決勝進出
ベスト8が決定から1日開け、予定通り日曜日に4試合が行われることになった新潟県予選準々決勝。朝から厚手の雲におおわれ、いつ雨が降りだしてもおかしくない天候にもかかわらず、舞台となるHARD OFF ECOスタジアム新潟には朝早くから多くの高校野球ファンが集まった。試合は4試合とも1点を争う好ゲームとなり、球場に詰めかけた人々は手に汗握る熱戦の行方を最後まで見守った。
第1試合に登場したのは、春の王者・村上桜ヶ丘と強力打線を武器にここまで勝ち上がってきた実力校・新潟明訓。新潟明訓の先発は2年生エースの村山 賢人 (2年)。その立ち上がり、いきなり2つの四球でピンチを迎えるも、四番・野澤和希(3年)を遊ゴロ併殺打に仕留め、初回を無失点で乗り切る。一方の村上桜ヶ丘先発のエース・椎野新(3年)は初回、二番・本間辰吉(3年)にヒットを許すも後続を打ち取り、無難な立ち上がりを見せる。二回表、村上桜ヶ丘はヒットと四球、送りバントで一死二、三塁のチャンスを迎えるが、八番・椎野新、九番・秋山蓮矢(3年)が倒れ無得点に終わる。試合が動いたのは三回表、先頭の須戸吉隆(三年)がエラーで出塁すると送りバントなどでランナーを進め、二死三塁のチャンスを迎える。
ここで四番・野澤和希がショートへタイムリー内野安打を放ち、村上桜ヶ丘が1点を先制。続く五番・河内(三年)もセンターオーバー二塁打を放ち、一塁ランナー・野澤が長駆ホームイン。リードを2点に広げる。援護をもらった椎野は三回以降、緩急自在のピッチングで新潟明訓打線を寄せ付けない。一方村山も、ランナーは出すものの要所を締め、追加点を許さない。緊迫した両エースの投げ合いは続き、スコアボードに0を並べる。結局、そのまま新潟明訓打線に的を絞らせず、三回以降無安打に抑えた椎野の活躍で、2対0で村上桜ヶ丘が勝利し、準決勝進出一番乗りを決めた。
[page_break:この試合のエキサイティングプレイヤーはこの選手!]エキサイティングプレイヤー 椎野新
身長195センチ。高身長と長い手足を生かした躍動感のあるフォームで投げ込む力強い直球はNPBスカウトも視察に訪れるほど注目を集めている。試合はこの椎野が 準々決勝まで3試合で39安打を放ってきた破壊力抜群の新潟明訓打線をどう抑えるのかが大きなポイントだった。
この日のMAXは138キロ。だが数字以上に伸びのある直球とスライダーをうまく使い、強力打線を封じ込める。中でも圧巻だったのが、試合前まで10打数10安打2本塁打と大当たりしていた四番・高田大輝(三年)との対戦。一打席目はカウント0-2からの三球目を変化球で見逃し三振。二打席目はスイングアウトで三振を奪うなど、三打数無安打に抑えこんだ。
春の大会以降、練習試合などで何度か椎野のピッチングを目にする機会があったのだが、多くの成長を感じた。中でも特筆すべきは無四球、球数もわずか100球という大人のピッチングを見せたこと。とかく四球やエラーが絡んでの失点が多い高校野球でこの点は大きく評価できるだろう。“桜のダル”がこの夏どこまでいけるのか、楽しみだ。
(文:編集部)