修徳vs錦城学園
勢いに乗る修徳、攻守にバランスよくベスト8の壁突破
ここまで進撃をしてきた錦城学園。
学校としては130年以上の歴史を有するのだが、野球部としてベスト8に進出したのは実はこの夏が初めてだった。東京都千代田区の中心街でさまざまな会社がひしめき合っている神田錦町に学校があるのだが、都会の学校でもあり当然のこととして、グラウンドは校舎に隣接していない。それでも、高島平の荒川河川敷に確保されており、部員たちは毎日授業を終えると、そこまで通って練習に励んできた。
ここ数年の中で、部活動を強化していく一貫の中で、野球部にも徐々に強化体制が整ってきているというところである。そんな錦城学園が、春季東京都大会を制して今大会も優勝候補筆頭となっていた帝京を下して勢いに乗っている修徳と、どんな試合をするのか注目された。
しかし、修徳が初回に2死二三塁から5番小林君の左越二塁打で2点先取する。さらに2回にも、2死から9番西林君が右前打で出ると、小澤君が右越二塁打して加点。3回には捕逸で、4回にも1死二三塁から内野ゴロの間に1点を加えて、修徳がソツのない攻撃で得点を重ねて行った。
結局、7回にも修徳は失策の走者を4番山下君の左前打でつないで好機を広げると、小林君が中越打して、2者を返してコールドゲームが成立した。錦城学園の左腕岩瀬君は、やはり少し意識したのか、立ち上がりからいくらか力味が出てしまったのも失点につながってしまった。
めぐってきた上位進出の好機だけに、もっと上へ行きたいという錦城学園だった。玉木信雄監督も、「やっぱり、悔しいですね」と、残念さは隠しきれない様子だった。それでも、「今年のチームは、ここ何年かでも一番力がないんじゃないかなという感じのチームだったんですよ。だけど、キャプテンの小島を中心によくまとまってくれて、力以上のモノを出してくれたとは思います。それだけに、もう一つ二つ、勝ちたかったですね」と、選手たちのここまでの努力は評価していた。
ほぼ、万全に近い形の試合が出来た修徳は、阿保暢彦監督も、「帝京戦を終えて、その次が大事なんだということは言っていたのですけれども、選手たちも決して浮わっついたところがありませんでした。私が、今年で(監督に就任して)3年目になるのですが、まだベスト8の壁を越えたことがないんです。けれども、選手たちもそれを知っていて、壁を越えましょうと言ってくれて、一つになって戦えています」と、気持ちがまとまって今大会に臨めていることを強調していた。
(文:手束仁)