樟南vs鹿屋中央
与えられた役割に徹す・樟南
3回の今田典志(3年)の3ランなど好機を着実にものにした樟南が、鹿屋中央にコールド勝ち。攻撃でも、守備でも、樟南は各選手が与えられた役割をそつなくこなし、チーム野球が一段と磨かれた印象がある。
試合終了後、山之口和也監督がスコアをつけているマネジャーに確認したのは、フライを打ち上げたのが何人いたかだった。35人が打席に立ち、凡フライでアウトになったのは2人しかいない。「フライアウトが少なかったということは、しっかり転がせていたということ。その分、相手のミスにもつけ込むことができた」(山之口監督)。
7番・北郷健太郎(3年)は送りバントを2つ決め、7回には8点目のスクイズも決めている。中学時代は強打者で鳴らし「バントなどしたこともなかった。最初は練習でもフライばかり打ち上げていた」北郷だが、夏に向けてチームに一体感が出てくると、苦手なバントも苦ではなくなった。
「自分は打撃よりも、守備で外野を引っ張る役割を期待されている」と話す中堅手・池田大志(3年)は外野の要として守備をけん引し、打撃でも3回は先制点につながる送りバントを決め、5回の追加点につながる四球を選び渋い仕事をこなしている。「9、1、2番は打たなくてもいいと言われている。四死球でも何でも塁に出れば、3、4番がしっかり返してくれる」信頼がチームにある。
9番・島田貴仁(3年)は、先制点の口火を切るレフト前ヒットを放ち、7回は二塁強襲の当たりがエラーを誘い、勝負を決める一打になった。「初球を見逃して、監督さんから『一歩前に立て』と言われて、その通りにしたらしっかりポイントでとらえられた」。記録としては打点のつかないエラーだが、チームが掲げる「強いゴロの打球を打つ」が実践できたことを喜んだ。
バッテリーを中心とした堅守でリズムを作り、3番・今田、4番・緒方壮助(3年)を中心につながりのある打線で粘り強く野球ができていることに「樟南らしいチームになってきた」と島田は感じていた。
(文=政 純一郎)