鹿児島中央vs吹上
「心の成長」を実感
「完全な負けパターン」(下野政幸)の試合を鹿児島中央が土壇場9回でひっくり返し、1986年夏以来27年ぶりとなる8強入りを勝ち取った。
投手陣が13四死球、エラーも4つ記録している。序盤をしのいで終盤勝負が下野監督の描くゲームプランだったが、肝心の終盤7、8回にも3点ずつ失点。2回戦でシード尚志館に勝った試合をはじめ、ここまで3試合は終盤まで粘る「勝ちパターン」に持ち込んでの勝利だったが、勝機を見出せないまま、敗色ムード濃厚で迎えた9回裏だった。
打線が捕えてくれる根拠はあった。
相手のエース川辺大鳳(3年)の球数は8回終了時点で149球。球威が落ちれば、つかまえられるとは思っていた。9回裏、先頭打者が倒れていよいよ黄色信号がともりかけたが、7番・菊川貴智(3年)の左中間二塁打を皮切りに、4番・入田大将(3年)まで1つの四球をはさんで6安打を浴びせ1点差まで詰め寄った。続く5番・古賀光太郎(3年)は表の回の守備から入った選手。初球ヒッティングの打球はショートゴロ。併殺で万事休すと思われたが、一塁転送が悪送球になり、2者生還で劇的な幕切れとなった。
選手たちが「終盤絶対に逆転できる」と「信じる心」を持てたことを下野監督は勝因に挙げる。「心の成長が大きい」と選手の成長を実感していた。
(文=政 純一郎)