横浜商大高vs横浜桜陽
復活したエースの完投勝利で4回戦進出
ノーシードからの勝ちあがりを狙う横浜商大高。この春、厚木北にコールド負けを喫し、その雪辱を果たそうと臨んだ夏の大会。1回戦、2回戦に勝利し、迎えた3回戦。相手は昨夏ベスト16の横浜桜陽だ。
横浜商大高の先発は続木 悠登（2年）。昨週4強に導く活躍を見せ、完成度の高さは高校1年生としては高い評価を受けていた逸材だ。だが春では右肩の違和感で登板を見送った。夏の大会に間に合わせた続木は1回表に1番浅川 天汰（2年）に安打を浴びて、一死二塁のピンチを招くが、3番山村 一輝（3年）は直球で見逃し三振、4番西尾 悠佑（3年）も空振り三振に奪いピンチを切り抜ける。
続木は180センチ79キロと上背がある。セットポジションから始動し、右スリークォーターから投じる直球は常時130～130キロ後半は計測していそうなストレートを投げている。変化球は緩いカーブ、スライダー、フォークが中心だ。コントロール良く投球を組み立てることができており、危なげない投球。そして彼はランナーを置いてからが強い。彼は初回だけではなく、2回表にも得点圏にランナーを背負った。だが彼はランナーを二塁に置いてから素晴らしい。ここぞというときには力感のあるストレートを見せてピンチを切り抜けていた。
先制点を取りたい横浜商大高は一死から続木が自ら中前安打を放ち、一死一塁。1番城童の内野ゴロの間に二死二塁となって2番磯部 知明（3年）のレフトの頭を超える長打で1点を先制する。さらに5回裏、8番松山 翔吾（1年）が中前安打で出塁、9番続木の犠打で一死二塁とすると、1番城童の中前適時打で1点を追加。8回裏、二死から4番間本 貴一（3年）の四球、5番白井 和弥（3年）がヒットエンドランを仕掛け、左前安打で二死一、三塁、6番永原 秀斗（2年）の中前安打で1点を追加し、3対0とする。
9回表。マウンドに登る続木。なんとか食らいつきたい横浜桜陽。先頭の4番西尾が中前安打、5番峰尾 龍司（3年）の死球で無死一、二塁のチャンスを作ると、6番坂井が中前へ抜けそうなゴロを二塁・町田 和之(3年）が飛びつきながら好捕。グラブトスして、ショートの白井が一塁へ送球し、併殺が完成。抜けていればチャンスは大きく広がっていただけにビッグプレーであった。二死三塁で7番船津 良嗣（2年）に二塁内野安打を打たれ、1点を失ったが、8番田中を見逃し三振に取り、試合終了。横浜商大高が4回戦進出を決めた。
復活したエースの完投勝利で4回戦進出を果たした。横浜商大高は服部 拳児、馬場 正行という好投手が存在したが、続木は彼らに負けない潜在能力を秘めている。投手としての基本的な能力はもちろんだが、2年生にしてこの安定感は中々のもので、マウンド上ではうちに秘める強さを持った投手で、厳しい場面でも頼りにできる風格がある。この試合では12奪三振。三振を奪える能力も持っている。
横浜商大高は1年生ながらガッツあるプレーを見せる松本、188センチ85キロと恵まれた体格に身体能力の高さを見せる白井、好守備を見せた二塁手の町田と能力の高い選手が多い。ノーシードから甲子園を狙う横浜商大高ナインの活躍と続木の今後の投球が見離せない。
(文：河嶋 宗一)
