試合レポート

都立江戸川vs安田学園

2013.07.17

都立江戸川が大金星!選抜出場の安田学園を破る!

 神宮球場の第二試合。昨秋の東京王者、春の選抜出場の安田学園が初戦を迎える。

 対するは都立江戸川。2009年の選手権予選ではベスト16に入るなど都立の実力校の一つだ。2011年からはプロ野球で活躍した伊達昌司先生(元阪神他)が助監督に就任。チームは確実に力を付けてきた。

 初回、都立江戸川の攻撃。1番南壮流(2年)がいきなりセンター前ヒットで出塁。送りバントで一死二塁のチャンスとなるが、後続が倒れ無得点。ここは安田学園のエース・大金真太郎(3年)が落ち着いていた。

 対する初回の安田学園の攻撃。四球でランナーは出すものの、こちらも後続が続かず無得点。都立江戸川の先発・髙橋瑠平(2年)が上々の立ち上がりを見せる。

 2回表、都立江戸川は、二死から連打で一、二塁のチャンスを作るも、安田学園・大金が粘り無得点。流れを引き寄せ切れない。

 その裏の安田学園。ヒットは1本出るものの、後続が連続三振に倒れ無得点。都立江戸川の2年生エース・髙橋が堂々の投球を見せる。

 3回は両校とも三者凡退。前半3回を終わって、両校互角の戦い。両エースがテンポ良く投げ込み得点を与えない。

 4回表、安田学園・大金は連続四球を与え、無死一、二塁のピンチ。その後、一死満塁とチャンスを広げられ、対する打者は8番高橋。高橋の打球はレフトへの飛球。三塁ランナーが余裕を持ってホームへ生還し、都立江戸川が1点を先制する。

 このあたりから都立江戸川が金星を上げる雰囲気が出来上がりつつあった。1点を先制し、ベンチもスタンドもお祭り騒ぎ、押せ押せの雰囲気が球場全体に広がっていた。

 この雰囲気を一刻も早く打破したい安田学園だが、4回5回と都立江戸川・高橋の前にチャンスを作れない。

 6回裏、この試合最大の山場を迎える。安田学園は二死から内野安打と四球で一、二塁のチャンスを作る。打席には5番小山新次郎(3年)。1点差を追う安田学園、1点ビハインドのまま終盤に突入したくない。対する都立江戸川、この場面を抑えれば勝利の確率がグッと上がる。


 3ボール1ストライクからの5球目。芯で捉えた打球はレフトの前方へ。これを都立江戸川北澤佑一(2年)が丁寧に捕球して3アウト。最大の山場を乗り切った都立江戸川。球場全体に大金星の予感が漂う。

 この流れで追加点を奪いたい都立江戸川は7回表、二死から8番高橋がライトへの二塁打で出塁。続く9番加藤昴(3年)がセンター前へタイムリーを放ち、待望の追加点を奪う。

 続く8回表、都立江戸川は4番春名風矢(3年)、5番上之園浩輝(2年)、6番大関隆也(3年)の3連打で、更に2点を追加。その差を4点に広げる。

 このままでは終われない安田学園は8回裏、この試合初めての連打で二死一、二塁のチャンスを作ると、4番深見俊介(3年)がタイムリーを放ち、1点を返し4対1とする。

 最終回、都立江戸川は先頭の9番加藤が今日3本目のヒットで出塁するも、後続が併殺打と飛球に倒れ、三者凡退に終わってしまう。

 この流れを攻撃に持っていきたい安田学園。一死から連打で一、二塁のチャンスを作る。ここで打席にはエース大金。芯で捉えた打球に、タイムリーを予感したが、これがショート正面へのライナー。飛び出してしまった二塁走者は戻れず、万事休す。序盤から試合を優位に進めた都立江戸川が、終盤のピンチを凌ぎ、安田学園を降した。

 勝った都立江戸川は、何と言っても先発した高橋の好投が光った。7回まで三塁を踏ませず、試合の流れを都立江戸川に持ってきた。終盤こそピンチを背負ったものの、要所を抑え7安打1失点完投勝利。高橋の好投に応えるように、バックも固い守りで得点を与えなかった。

 敗れた安田学園は、最後まで高橋を打ち崩すことができなかった。早い回に同点に追いついていれば、展開は変わっていたかもしれない。というのも回が進むにつれて、勝利へのプレッシャーがのしかかってくるからだ。そのプレッシャーは、安田学園のベンチからスタンドにも伝わってきた。

 思わず天を仰ぐ安田学園ナイン。勝利に大きく沸き立つ都立江戸川ナイン。両校の対照的な姿が印象的だった。

(文:編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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