試合レポート

鹿児島中央vs尚志館

2013.07.14

今大会初の波乱・鹿児島中央―尚志館

 開幕して1週間が過ぎ、ようやく全79チームが初戦を終えた。
これまで8日間、シード校は全て初戦を勝ち進んできたが、最後に登場した第3シード尚志館に、今大会初の波乱が待ち受けていた。伏兵・鹿児島中央に終盤逆転負けを喫した。

 目の覚めるような直球がミットに吸い込まれ、見逃し三振で試合を締めくくると、鹿児島中央のエース堀切厚保志(3年)は力強く両こぶしを握って雄叫びを挙げた。「練習したことが出せました」とセンバツ出場校・尚志館の強力打線を散発6安打2失点に封じた会心の投球を振り返った。

 ボールを低めに集められるかどうかが尚志館攻略のカギだった。このところの練習ではボールが低めにこなくて悩んでいたが、前日の練習で「股関節の動きがスムーズにいってない」ことに気づいた。

 ポイントが分かれば、改める修正能力は持っている。回の頭ではマウンドの後ろで必ず股割をして股関節の動きを意識し、ボールを低めに集めること、内外角の厳しいコースを突くことに集中した。初回に捕逸、暴投と独り相撲で先制点を献上したが、そこで集中を切ることなく、2回以降しっかり投げてゲームを作った。「あれぐらいの投球はできる能力は持っている」と下野政幸監督はエースの力投を称えた。

 打線は、外角のボールをどれだけ踏み込んで打てるかがカギだった。6回までは5番・鈴木悠矢(3年)の2安打のみに抑えられていたが、7回二死から鈴木が3本目のヒットで出塁すると、6番・福森亮太(3年)がチーム初長打となるライトオーバー三塁打を放った。前の回に2点目を献上する悪送球をしてしまったが、それを引きずることも、気負って力むこともなく「踏み込んで右方向に打つ」(福森)ことに集中していた。相手の投球パターンを崩し、反撃の口火になった。
 続く7番・菊川貴智(3年)のセンター前タイムリーで同点に追いつき、8回に3番・西貴之(3年)のセンター前タイムリーで勝ち越した。鹿児島中央は、そのまま逃げ切り3対2で尚志館に勝利。3回戦へと駒を進めた。

(文=政 純一郎)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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