笠田vs高松桜井
笠田がサヨナラ勝ちを収め、2年連続で初戦を突破
終盤までもつれた1点を争う好ゲーム。笠田が土壇場で同点に追いつくとそのまま押し切り、劇的なサヨナラ勝ちで2年連続の初戦突破を果たした。
香川笠田・久保翔登(3年)、高松桜井・宮下幸大(2年)両先発の要所を締める踏ん張りもあり、前半は互いに決定打を欠く重苦しい内容。そんな中でまず、試合を動かしたのは5回裏の香川笠田。松崎海大(3年)が内野安打で出塁すると、犠打の後、一死を挟んで吉田克樹(2年)に左前適時打が飛び出し、先制に成功する。
対する高松桜井は6回表。片岡拓海(2年)の三塁打を足掛かりに同点とすると、7回表にも片岡が左前適時打を放ち、逆転。最少リードを保ったまま9回裏を迎えたが、香川笠田の瀬部瞬(2年)の適時打で追いつかれると、続く併殺崩れの間に決勝点を挙げられ、涙を呑んだ。
【ピックアップコラム】 昨夏ベスト8の立役者が投じた、期待を繋ぐ一球
試合前、注目を集めた選手の中に、香川笠田の背番号10で左投手の真鍋裕貴(2年)がいる。
昨夏の2回戦で優勝候補に数えられていた寒川を相手に、被安打8・2失点の堂々としたピッチングを披露。華々しい1年生デビューを飾ると、続く3回戦でも9三振無四球の完封を記録。伸びやかなストレートと制球力抜群の変化球で同校25年ぶりの夏ベスト8進出を牽引し、ファンに今後の期待感を大きく抱かせた。
そんな楽しみな逸材の真鍋が登場したのは、7回表。一死二塁のピンチから。ただ、自慢の制球が安定せず、いきなりつかまり1点を献上、逆転を許す。
続く8回は無難に3者凡退で討ち取るも、9回は先頭打者を四球で歩かせた後、自らのミスも手伝い、走者を三塁に背負うピンチに。
そして二死から高松桜井の四番・森長拓也(3年)との勝負。ダメ押しの1点を巡る痺れる局面で、真鍋は昨夏からの期待感をつなぎ止める球を、最後にたった一球だけ披露する。
右打者を鋭く突く、125kmの高めストレート。
森長は体をのけぞらせたが、球審は躊躇なくストライクをコール。直後に客席から漏れた溜め息は、好機を逸した高松桜井に対してばかりではない。
真鍋は球速以上の凄みを感じさせるその球で唯一の三振を奪い、逆転劇へのリズムをつくった。
(文=和田 雅幸)