鹿児島実vs鹿児島南
下位打線につながり・鹿実
鹿児島実の宮下正一は「下位打線のつながり」を、夏を制するカギの一つに挙げていた。中軸に福永泰志(3年)、横田慎太郎(3年)、大迫光之介(3年)を擁する上位打線は、県内トップクラスの破壊力があるだけに、下位打線もつながるようになれば、得点力は盤石なものになる。
バントミスやエラーなど「初戦特有の重さ」(宮下監督)もあったが、14安打10得点と打線がつながってコールド勝ちだった。得点を挙げた3―5、7回はいずれも下位打線からチャンスメークしたもの。中でも9番・長倉遼平(3年)は3打数3安打1四球1打点の活躍だった。
これまで公式戦では背番号15を背負い、打順も2、8、9番と相手により様々だった。三塁のレギュラーを守備の安定感がある西村将希(3年)と争っていたが、最後の夏に初めて背番号5を勝ち取った。初戦は左投手の先発を読んでいた宮下監督だったが、このところの打撃練習でタイミングが合っていた左打者の長倉をスタメン起用した。
スタメン起用を告げられたのは球場に入ってからだったが、初めて背負う5番に監督の期待と自分が果たすべき役割の重みを感じて試合に臨んだ。先頭打者回ってきた3回はフルカウントまで粘ってセンター前に弾き返し、先制のホームを踏んだ。4回は2ストライク追い込まれながら内角を振り抜いてライト線に抜ける三塁打を放った。5、7回の打席もヒット、四球とつなぎの役割を完ぺきにこなした。
投手陣では、背番号18の宇都光司(3年)が公式戦初登板で良い仕事をした。投手陣の中では5番手の選手だったが「この1カ月で大きく伸びた。ブルペンでボールがビシビシきていた」(宮下監督)と5回から横田をリリーフ。5、6回は無難に抑え、7回は無死満塁とピンチを背負ったが、4番・小芦有典(3年)を併殺打に仕留めた。最後は谷口稜弥(3年)にマウンドを譲ったが、長丁場の夏を勝ち抜く上でチームにとっては好材料ができた。
(文=政 純一郎)