村上桜ヶ丘vs北越
両エース力投の末、意外な形で決着
村上桜ヶ丘 サヨナラのシーン
試合前から、3回戦屈指の好カードの呼び声高かったこの試合。下馬評通り両エースが力投し、1点を争う好ゲームとなった。先制したのは村上桜ヶ丘。初回一死から、二塁打で出塁した倉島を置いて、3番長谷川智がセンター前へタイムリーを放ち1点を先取。村上桜ヶ丘先発・椎野は140キロに迫る直球とスライダーを武器に抜群の立ち上がり。三回、3つの四球で二死満塁のピンチを招くも3番杉本を中飛に打ち取り、北越打線に的を絞らせない。
一方北越先発の峯田も初回以降立ち直り、毎回ランナーを出すものの要所を締めるピッチング。試合が動いたのは6回表。ここまで椎野の前にノーヒットに抑えられていた北越打線だが、3番杉本が内野安打で出塁すると、続く4番長谷川翔がレフト線へ二塁打。杉本が1塁から一気に生還する好走塁を見せ、同点に追いつく。一方の村上桜ヶ丘もその裏、先頭の4番野澤、5番河内、7番松内のヒットで1死満塁のチャンスを作る。ここで、8番椎野がセンターへ犠牲フライを放ち、再び勝ち越し。
だが、北越も黙っていない。7回表、一死から8番峯田がライト前ヒットを放つと、ライトが打球の処理をもたつく間に一気に二塁へ。内野ゴロの観に進塁し二死3塁から、1番佐藤のゴロを、サードがファンブル。思わぬ形で同点に追いつく。両投手とも球数が100球を越えた七回以降もランナーを出しながら粘りのピッチングを見せる。九回表、北越は連続ヒットで一死1塁2塁のチャンスを迎えるも、無得点。試合は延長戦へ。
そして迎えた10回裏、村上桜ヶ丘は四球とヒット送りバントで一死二、三塁のチャンスを迎える。北越ベンチは満塁策を取り一死満塁でこの日2安打の7番松内を迎える。カウント1-1から峯田が投じた3球目はホームベース前でワンバウンドし、キャッチャーが後逸。その間に3塁ランナーが返り、ゲームセット。村上桜ヶ丘・椎野は147球、北越・峯田が150球という両エースの投げ合いは、意外な形で幕を閉じた。
[page_break:この試合のエキサイティングプレイヤーはこの選手!]エキサイティングプレイヤー 椎野新(村上桜ヶ丘)
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▲村上桜ヶ丘高校 椎野新選手
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多彩な変化球と大型右腕というところで“桜のダル”という愛称があるようだが、投球フォーム、テイクバックの取り方などは西口(西武)に近い印象。ストレートは目測で130キロ後半。140キロ前半というMAXには届かないものの、194cmの長身から放たれる直球は威力十分。この日はカウントを取るスライダーの制球もよく、10回完投で11三振を奪った。新発田農業高で加藤健(現巨人)を育てた松田監督指導のもと力をつけ、この試合にはNPBのスカウトが訪れるほどになった逸材だけに、今後も期待したいところだ。
試合終了直後のコメント 小島監督(北越)
「力負けです。椎野くんはいい投手でした。(前半は球数を放らせていたように思えましたが?)そうですね。もともと中盤~後半勝負だと思っていたので、中盤までは非常にいい勝負ができたのですが、九回表ですね…。(一死1、2塁から9番加藤の送りバントがファールになり、2ストライクから打ちにいってサードフライ、後続も倒れ無得点)。加藤には、セーフティー気味に送らせようと思ったんですけど、(ライン際ギリギリでファールになった)2球目がね。そしてああいう結果になってしまった…。明るい話題を挙げるとすれば、主将の長谷川。意図的に逆方向へ打たせた練習の成果が出て逆方向へ2本打てました。ただ、他の中軸がね。いい投手と当たるとなかなか打てない。バッテリーにはまだ声を掛けていません。ボーッとしているときに何を言ってもしょうがないのでこれからです。切り替えていかないといけないですから。夏に向けて頑張ります。」
(文=編集部)