試合レポート

村上桜ヶ丘vs北越

2013.05.03

両エース力投の末、意外な形で決着

村上桜ヶ丘vs北越 | 高校野球ドットコム

村上桜ヶ丘 サヨナラのシーン

試合前から、3回戦屈指の好カードの呼び声高かったこの試合。下馬評通り両エースが力投し、1点を争う好ゲームとなった。先制したのは村上桜ヶ丘。初回一死から、二塁打で出塁した倉島を置いて、3番長谷川智がセンター前へタイムリーを放ち1点を先取。村上桜ヶ丘先発・椎野は140キロに迫る直球とスライダーを武器に抜群の立ち上がり。三回、3つの四球で二死満塁のピンチを招くも3番杉本を中飛に打ち取り、北越打線に的を絞らせない。

一方北越先発の峯田も初回以降立ち直り、毎回ランナーを出すものの要所を締めるピッチング。試合が動いたのは6回表。ここまで椎野の前にノーヒットに抑えられていた北越打線だが、3番杉本が内野安打で出塁すると、続く4番長谷川翔がレフト線へ二塁打。杉本が1塁から一気に生還する好走塁を見せ、同点に追いつく。一方の村上桜ヶ丘もその裏、先頭の4番野澤、5番河内、7番松内のヒットで1死満塁のチャンスを作る。ここで、8番椎野がセンターへ犠牲フライを放ち、再び勝ち越し。

だが、北越も黙っていない。7回表、一死から8番峯田がライト前ヒットを放つと、ライトが打球の処理をもたつく間に一気に二塁へ。内野ゴロの観に進塁し二死3塁から、1番佐藤のゴロを、サードがファンブル。思わぬ形で同点に追いつく。両投手とも球数が100球を越えた七回以降もランナーを出しながら粘りのピッチングを見せる。九回表、北越は連続ヒットで一死1塁2塁のチャンスを迎えるも、無得点。試合は延長戦へ。

そして迎えた10回裏、村上桜ヶ丘は四球とヒット送りバントで一死二、三塁のチャンスを迎える。北越ベンチは満塁策を取り一死満塁でこの日2安打の7番松内を迎える。カウント1-1から峯田が投じた3球目はホームベース前でワンバウンドし、キャッチャーが後逸。その間に3塁ランナーが返り、ゲームセット。村上桜ヶ丘・椎野は147球、北越・峯田が150球という両エースの投げ合いは、意外な形で幕を閉じた。

[page_break:この試合のエキサイティングプレイヤーはこの選手!]

エキサイティングプレイヤー 椎野新(村上桜ヶ丘)

[pc]

村上桜ヶ丘vs北越 | 高校野球ドットコム
▲村上桜ヶ丘高校 椎野新選手

[/pc]

多彩な変化球と大型右腕というところで“桜のダル”という愛称があるようだが、投球フォーム、テイクバックの取り方などは西口(西武)に近い印象。ストレートは目測で130キロ後半。140キロ前半というMAXには届かないものの、194cmの長身から放たれる直球は威力十分。この日はカウントを取るスライダーの制球もよく、10回完投で11三振を奪った。新発田農業高で加藤健(現巨人)を育てた松田監督指導のもと力をつけ、この試合にはNPBのスカウトが訪れるほどになった逸材だけに、今後も期待したいところだ。

試合終了直後のコメント 小島監督(北越)

「力負けです。椎野くんはいい投手でした。(前半は球数を放らせていたように思えましたが?)そうですね。もともと中盤~後半勝負だと思っていたので、中盤までは非常にいい勝負ができたのですが、九回表ですね…。(一死1、2塁から9番加藤の送りバントがファールになり、2ストライクから打ちにいってサードフライ、後続も倒れ無得点)。加藤には、セーフティー気味に送らせようと思ったんですけど、(ライン際ギリギリでファールになった)2球目がね。そしてああいう結果になってしまった…。明るい話題を挙げるとすれば、主将の長谷川。意図的に逆方向へ打たせた練習の成果が出て逆方向へ2本打てました。ただ、他の中軸がね。いい投手と当たるとなかなか打てない。バッテリーにはまだ声を掛けていません。ボーッとしているときに何を言ってもしょうがないのでこれからです。切り替えていかないといけないですから。夏に向けて頑張ります。」

(文=編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?