創価vs岩倉
岩倉・宮崎君
2度のスクイズ失敗、岩倉流れ作れず
2度のスクイズ失敗が、岩倉にとっては何度も引き寄せられそうになった試合の流れを最終的に自分たちのものにすることができなかった。逆に、選手個々の力としては上回っている創価が、結果的には力ずくで抑え込んだ形となった。
岩倉は宮崎君、創価は内野君の先発だったが、ともに初回は3人で抑えてまずは無難な立ち上がりだった。
しかし2回、創価は無死一、二塁からバントが小フライとなり併殺で二塁走者も刺され二死一塁となった後に、7番小野君が左中間へ2ランを放った。近藤省三監督にとっては、策が失敗した後の一発ということで、何とも言えない先制点になった。ただ、このあたりに創価の選手のポテンシャルの高さがあるといってもいいのであろう。得点にこそならなかったものの創価は、さらに松下君も二塁打を放って続いている。こうした、畳かける力でプレッシャーをかけていったということにもなっていたであろう。
それでも、岩倉はすぐに反撃に出た。3回、9番大山君が追い込まれながらライト前へヒットを放つと、福山君がしっかりとバントで送り、2番酒井君がライト前へ持っていって二塁走者が生還し１点差。
なおも相手失策があって1死一、三塁。
4番森山君という場面で岩倉の磯口洋成監督は迷うことなくスクイズを指示したが、これがフライとなってしまい併殺。同点機を逸した。
創価・海老原君樹
岩倉は、とにかく徹底して送るべきところは送り、スクイズなど安打が出なくても得点できる野球というスタイルを徹底している。また、磯口監督はそうしたチーム作りに対してのこだわりがあり、4番でもスクイズというのは普通にあるケースなのだ。それだけに、ここで同点にしておきたかったというのは本音である。
追いつけなかったものの、宮崎君が踏ん張って追加点を許さずに我慢していたところで、岩倉にもう一度好機が訪れた。それが6回、先頭の3番駒場君に左中間二塁打が出ると、森山君が四球で無死一、二塁。この後、一死一、三塁となったところで秋には4番を打っていたこともあるという6番安達君だ。一塁走者を走らせて二、三塁としてから、安打で逆転ということも考えられる場面でもあったのだが、安達君はスクイズで、これがあまりにも正面へ行ってしまい、本塁タッチアウト。まさに、このスクイズで試合の明暗を分けたと言っても過言ではないくらいのものになってしまった。
その裏、創価は2番奥君がライト線へ二塁打を放つと、バントと矢澤君のライト前ヒットで追加点が入った。岩倉ベンチもここで宮崎君をあきらめて石澤君につないだが、その代わり端の初球を力のある海老原君が強気に振り切るとセンターオーバーへの二塁打で二、三塁とする。さらに、続く内野君も二塁打で二者が還って追加点。これで、試合そのものの行方もほぼ決まってしまった。
創価はこの日完投した内野君が背番号1をつけているが、他にも樽海君、小泉君、大久保君と試合を任せられる投手が控えているという。個々の力もあり、総合力は相当高いという印象だった。
岩倉にとっては結果的に二度のスクイズ失敗が効いた。監督の意図すする野球を徹底できなかったということでは、チームのテーマということを省みた場合には、課題の多い試合だったとも言えそうだ。
磯口監督はその一つとして、「6回以降の戦い方かな。（力のある相手に対しても）5回までは対等に戦えても、その後に相手が本気になってきてやられてしまうということが、秋もそうだったし…」と、夏の大会はシード校という立場にはなったものの、あくまでも挑戦者という姿勢で挑む姿勢を再確認していた。
（文＝手束仁）
