試合レポート

東総工vs佐原

2013.04.14

東総工vs佐原 | 高校野球ドットコム 

先発・高品(東総工)

193センチ大型右腕・高品健吾の可能性に迫る

今年の千葉県で密かに気になっていた逸材がいた。東総工高品 健吾寺島 貴樹のことである。
二人とも140キロ近い速球を投げ込む本格派右腕と伺っていたので、春季大会で見ておきたい投手であった。二人とも見られれば良いと思っていたが、寺島は調子が上がらずベンチ入りから外れていた。

県大会出場をかけた佐原戦で先発したのは高品 健吾
高品はひと目見ただけで目に付く存在だ。身長はなんと193センチ84キロ。今年の千葉県一のビッグな投手であろう。まだ193センチの長身を使いこなし切れていないが、取り組み次第では145キロ~150キロも投げられる逸材。

球速はすでに140キロ前後を投げる馬力はあり、自己最速は143キロに達した。まだ制球にぎこちないところはあるが、高校入学時から1年間は故障続きで、投手の練習に専念できたのはわずか1年ということを考えればすごい成長度だろう。気になったことは、投球フォームで193センチの投手として角度が高くない。

その理由を伺ってみた。
「オーバースローに憧れがあって、角度高く投げることに憧れがあったんですけど、やっぱり自分が投げやすい投げ方が一番かなと思いまして、今のフォームになりました」

スリークォーターの軌道で外旋気味に腕を振る。上半身の力の強さが目立ったフォームで荒削りな体の使い方だ。無理に角度をつけるよりも自分が投げやすい形で、その形をベースにして、球速、制球力、変化球を磨いていくべきだろう。彼の投球内容からすると、まだリリースポイントを掴みきれていないように見えた。まだ意図してコースへ投げる事が出来ていないのだ。

「確かに球威はあるんですけど、本当に良いと思ったのは4,5球ぐらいでしょう」
東総工の越川監督は厳しいコメント。投手はスピードを出すことではなく、抑えることが仕事である。これで自分のリリースポイントを掴んでいくと一気に制球が良くなっていく予感をさせた。まず初回を無失点に抑えて上々の立ち上がりを見せた。


東総工vs佐原 | 高校野球ドットコム 

ピンチを凌ぎ、喜びを表す鈴木(東総工)

試合は、2回表に高品のセンター前タイムリーで東総工が先制すると、3回にも栗林のレフト前タイムリーで2点目あげる。さらに5回表には無死一、二塁から3番栗林の三塁前へ犠打を仕掛けると、やや送球が逸れてセーフに。この場面で二塁走者の熱田はファーストの体勢が乱れていたのを逃さなかった。三塁を蹴って一気にホームへ。ファーストはバックホーム出来ずに3点目が入った。

この間に一塁走者は三塁へ進み、無死一、三塁から4番加瀬のレフト前ヒットで4対0。5番高橋の犠打で一死二、三塁とすると6番伊藤の時にワイルドピッチで5点目。伊藤は四球で歩き、一死一、三塁から7番掛巣の犠牲フライで6対0と東総工が大きくリードした。

4回まで無失点に抑えていた高品だったが、5回に乱れる。二死から連続四球に2番土井のピッチャー前内野安打で二死満塁。3番根本をショートゴロに打ち取りこの回は無失点に抑えるものの、6回裏も制球の乱れを修正出来ない。4番小貫に四球を与えると、5番瀬川のレフト前ヒットと6番高木のライト前ヒットで1点を失う。
7番香取は三振に打ちとったが、8番三橋には四球。9番本多のショートゴロの間に三塁走者ホームイン。さらに1番山下の内野安打で6対3となり、高品はこの回限りで降板した。

 7回裏から左サイドスローの鈴木が公式戦初登板。
本当は東総工の越川監督としては6回裏途中で投入したかったのだが、まだ公式戦登板がないことを考慮して7回表の頭からの登板となった。鈴木は緊張が隠し切れないのか一死満塁のピンチを迎えてしまう。ここから6番高木をキャッチャーフライ、7番香取をライトフライに打ち取り踏ん張った。7回終わった後、鈴木はガッツポーズを見せてベンチに戻った。

投手、ピンチを切り抜けた後の次回以降のイニングは人が変わったように好投を見せるもの。自信をつけた鈴木は8,9回をピシャリと抑え、3回無失点の好リリーフ。逃げ切って県大会出場を決めた。


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先発・高品(東総工)

エース寺島に代わり、高品、そして鈴木が公式戦登板を経験。夏に向けてベンチ入り投手の経験値を上げている。

越川監督は春季県大会でも機会があればベンチ入り投手を試したいと考えている。
「もう少し点差がつけば、鈴木以外にも試すつもりでした。ただ高校野球は6点差をつけてもセーフティーリードとはならないので、難しいですね」

公式戦は選手の実力を伸ばす場であると思う。良い結果も、悪い結果も夏につなげていくことが大切だ。公式戦の経験を積んだ今の投手陣に寺島が復帰すれば、層が厚い投手陣になりそうだ。

そして最後に高品に上を目指す気持ちについて伺ってみた。
「上でやりたいという気持ちはありますし、夏までに大学で続けられる実力を着けたいです」

この体格に、140キロ台を投げる潜在能力に大学関係者が放っておくはずがない。開花させたいと思う指導者の方が多いはずだ。春季大会ではぜひ彼の恵まれたポテンシャルを活かしたスピードボールに注目してほしい。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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