都立足立新田vs淑徳
足立新田・石川君先制のホームイン
攻守にきっちりとまとまりを示した、自信の足立新田
全国で、もっとも早い春季公式戦の東京都大会一次ブロック予選が、この日から始まった。
2回戦となったこの試合は、淑徳の郷君、足立新田の加藤君の投手戦の様相を呈しながら始まった。郷君は背番号6で打順も2番に入っていることでもわかるように、センスのよさが窺えるのだが、スリークォーターから上手にコースを突きながら相手打者をかわしていくタイプ。
足立新田の加藤君は背番号20の左腕だが、タテに大きく曲がるカーブはかなり効果的だった。ストレートも、スピードがあり、ブロック予選の段階ではそうは打ち崩されないであろうと思わせるくらいに力があった。ただ、背番号20でもわかるように、大会前まではギリギリメンバー入りしたという位置づけだった。ところが、ここへ来て練習試合でも好投をしていて非常に好調ということで、小野将幸監督も、「この試合は、(加藤君で)最初から行こうと思っていました」という期待に十分に応えるものであった。
結局、8イニング投げて11奪三振5安打で、死球1。三塁に走者を進めたのも一度だけ。立ち上がりこそ、やや力みもあって、球が上ずり気味になったところもあったが、味方が得点をしていってくれた中盤からは尻上がりの勢いだった。また、守りも遊撃手の鈴木直君はじめ好守が光った。
0―0で迎えた3回、足立新田9番石川君の二塁打からバントで1死三塁として安達君の中越二塁打で先制。4回も、2死二三塁から石川君の三遊間を破る安打で2点。5回にも7番吉住君の2点タイムリーで追加。足立新田は下位打線でもしっかりと得点出来るところが強みだ。
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▲足立新田高校 加藤君
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小野監督は、「これだけ投げてくれればいいですね。カーブは、そんなには打たれないと思います。このところ、大会では勝ち上がれていないので、今年あたりは勝たないといけませんね」と、06年夏にベスト4に進出して以来、安定してベスト8に残っていたこともある。それだけに、ある程度の実績は残さないといけないという自負もある。
結果的には、完敗という形になってしまった淑徳は、試合前に中倉祐一監督が選手たちに、「相手が強いと思うこともあるかもしれないけれども、自分たちのいつもの試合をやっていけば、大丈夫なのだから、そのつもりで当たっていこう」と、声をかけていたが、立ち上がりは互角に戦えたものの徐々に離されていってしまった。それでも、ベンチ入りの総数13人で、元気に戦ったという印象であった。途中、ワンポイント的に何度か守りを変えて工夫していたが、功を奏さなかった。
(文=手束仁)